2019 Fiscal Year Annual Research Report
Preparation of cyclophanes driven by pi-coordination of arenes to a transition-metal center
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18K19080
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
小笠原 正道 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 教授 (70301231)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | シクロファン / メタセシス / クロム / 鉄 / ルテニウム / モリブデン / パイ配位 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の当初の目的は、「benzenoid芳香族化合物の遷移金属へのパイ配位」と「遷移金属基質へのメタセシス反応」を駆使して、合成困難な化学種として知られる「シクロファン類」の新たな効率的合成法を開発することであった。芳香族化合物が配位する遷移金属原子としてゼロ価クロムを選択し、(アレーン)2Cr錯体の合成を検討したが、当初の目論見に反し、アルケニル置換基を有するアレーン類をクロムに効率よく配位させる合成条件を見いだすことができなかった。これは、アレーンのクロムへのパイ配位の際にアルケニル側鎖のパイ配位が競合するためと考えられる。そこで、反応系を多少変更し、合成が容易な(アルケニルアレーン)クロム・トリカルボノル錯体を用いた分子変換を試みた。これらの錯体をルテニウム・アルキリデン触媒(グラブス触媒)あるいはモリブデン・アルキリデン触媒(シュロック触媒)存在下で反応させたところ、アレーン部位のクロムへの配位を保持したままオレフィン・メタセシス反応が進行し、二量化により二核アレーンクロム錯体が高収率で得られた。この遷移金属触媒反応中、アレーンクロム部位は保持されたままで触媒反応に影響を与えない。こうして得られた二核アレーンクロム錯体の溶液を太陽光照射下で空気中で撹拌すると、酸化的ににクロムを定量的に取り除くことができた。脱クロム後の有機配位子は、カラムクロマトグラフィにより単離可能であった。別の反応として「フェロセノファン」の合成も検討した。ビニル基とブテニル基を有するフェロセンをメタセシス反応に適用したところ、架橋フェロセノファンの生成とビニル基での二量化反応が競合することが認められた。高希釈条件で反応することにより二量化を抑制し、架橋フェロセノファンを高収率で得ることができた。一方、ラセミ体の面不斉ビニルフェロセンを用いると、速度論分割を伴った二量化反応が進行した。
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Research Products
(14 results)