2018 Fiscal Year Research-status Report
有機円偏光発光材料創出を指向した分子設計の確立とその学理の構築
Project/Area Number |
18K19081
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
清水 宗治 九州大学, 工学研究院, 准教授 (70431492)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
|
Keywords | 円偏光発光 / キラリティ / 有機環状分子 / ジケトピロロピロール / BODIPY |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では優れた円偏光発光(Circularly Polarized Luminescence(CPL))の発現を指向して、その理論式に基づき、CPL特性が本質的に大きくなると経験的に予想されている有機色素分子の環状配列構造の構築にジケトピロロピロールおよび、それから誘導したBODIPY類縁体を基礎骨格として用いて挑戦する。実測と理論計算を用いた遷移電気双極子モーメントおよび遷移磁気双極子モーメントの評価により、環状配列構造における高いCPL特性の起源について解明を行う。最終的には未だ黎明期にある有機分子のCPL研究において、基本的な分子設計における学理の構築に挑戦し、本研究成果を基盤に有機円偏光発光(Organic CPL(OCPL))研究を飛躍的に発展させる。 研究初年度の平成30年度はジケトピロロピロールを用いた環状構造の合成を行った。ジケトピロロピロールは配位性のピロールNHを有しているために、まずこれをベンジル保護した後、アリール置換基側をハロゲン化、ホウ素化し、白金試薬との反応により、メタラサイクルを合成した。得られた白金架橋体をリン配位子と反応させることで、脱白金反応を現在試みている。予備的ではあるが、環状構造の生成を質量分析から確認しており、現在、NMRなどにより構造同定を行っている。また、今年度に確立した合成手法はジケトピロロピロールの拡張類縁体であるピロロピロール aza-BODIPYにも適用可能であることから、こちらについても合成研究に着手している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画段階から反応系の最適化が重要課題であると考えていたが、現在、溶解性、反応性共に問題点を解決し、目的の環状分子が合成できたことから、今後、合成研究を飛躍的に進展することができると考えている。また、得られた分子の分光測定および物性評価についても段取りができていることから、化合物の基礎的な同定が終わり次第、すぐに着手できると判断している。 以上のことから、本研究計画が当初の計画以上に進展していると判断している。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成31年度の研究において得られたジケトピロロピロールの環状分子について、その構造同定をNMRおよび結晶構造解析により進める。構造同定の後、各種分光測定および理論計算を行い、電子構造を解明し、最終的にはCPL測定を行う。CPL特性については分子構造と電子構造を考慮することで、その起源について考察を行う。また、確立した合成手法をジケトピロロピロールの拡張類縁体であるピロロピロール aza-BODIPYについても行い、より長波長におけるCPL特性の発現を目指す。
|
Causes of Carryover |
初年度は合成条件探索に時間を費やし、測定用のサンプル合成に必要な試薬の支出が少なかったために、次年度使用額が生じた。合成法を確立できたことから、現在、大量合成を行っており、平成31年度に繰り越して、この分を試薬の購入費として使用する。
|
Research Products
(9 results)