2020 Fiscal Year Research-status Report
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18K19094
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂本 良太 京都大学, 工学研究科, 准教授 (80453843)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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Keywords | ナノワイヤ / ジピリン |
Outline of Annual Research Achievements |
筆者は2019年10月に現所属先に異動したが、コロナ禍の影響により、前任地からの研究機材移転が2021年1月までずれ込んだ。そのために本研究の進捗は大幅に停滞することとなった。 今年度には、新たに所属研究室に配属されたB4一名と研究を行った。具体的には、分岐アルキル基を導入したπ拡張ジピリン架橋配位子の合成と、これを用いたジピリンナノワイヤ合成を行った。これは溶媒への分散性を増強し、単一ワイヤ剥離・取扱・観測をより容易にするための工夫である。 実験自体もコロナ禍の影響を受け、さらに研究室に他に有機合成を行うことができる人材がいないため、進捗は遅滞したものの、年度内にナノワイヤの構築まで到達することができた。現状では収率が想定よりも低いため、今後合成法の改良を進める。 ナノワイヤの構築の確認として、これまでのところ紫外可視吸収および蛍光分光法を用いた分析を行った。すなわち架橋配位子と酢酸亜鉛との錯形成により、前者の吸収帯および後者の発光帯が長波長シフトした結果が得られた。 筆者の既報では、ナノワイヤのトルエン分散液はチンダル現象を示すことを報告していたが、溶解度を増強したナノワイヤではこれが観測されなかった。これまで観測されたチンダル現象は単一ナノワイヤ由来ではなく、そのバンドル構造体によるものであったことが推測される。同時に、溶解度増強により分散性が上昇したことを表す結果であると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍と申請者自身の異動により、研究環境整備が遅滞したため。
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Strategy for Future Research Activity |
研究環境整備を進め、研究進捗を促す。再度の異動の可能性もあり、この場合研究環境整備がより大きなウェイトを占めることとなる。
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Causes of Carryover |
コロナ禍と自身の異動の影響により、研究進捗が遅延したため。消耗品と実験環境整備に支出する予定である。
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