2018 Fiscal Year Research-status Report
Structure and gelation mechanism of water soluble chemically modified celluloses in aqueous solution
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18K19107
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
四方 俊幸 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (10178858)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 化学修飾セルロース / 光散乱 / 小角中性散乱 / 回転拡散定数 / 並進拡散定数 |
Outline of Annual Research Achievements |
水に溶けるように水酸基がメチル化或いはヒドロキシプロピル化された化学修飾セルロースであるMCやHPMC等のセルロースエーテルCE類は,様々な化学修飾度合いで分子量が異なるものが工業的に生産されており,試料の入手は容易であった。ただし,入手可能なCE類の分子量分布はかなり広い。試料の分子量分布に依存して変化する静的及び動的光散乱や小角散乱挙動さらに粘弾性挙動の精密な議論が,研究目的を達成するためには必須なので,まず入手した市販品のEC試料の分子量分別を通常のゲル濾過分取法を用いて行った。分子量分布の指標である、数平均分子量に対する重量平均分子量の比Mw/Mnが1.2程度に納まるまで分取操作を繰り返している。分取精製された各CE試料を,凍結乾燥して測定に用いる予定である。この操作は長時間を要するので,二年目も継続して行う。 水溶液内での溶存形態の議論には,光散乱及び小角中性子散乱さらに粘弾性挙動の分子量依存性を用いる。まず,分子量分別する前のCE試料の希薄水溶液が示す静的光散乱と小角中性子散乱挙動の散乱角依存性から、溶存形態の概要を決定する実験を行った。その結果,溶存形態は棒状であることが示唆されたので、それぞれのCE試料水溶液について動的光散乱(DLS)測定を幾つかの散乱角で行い、CE試料分子の並進拡散定数と回転拡散定数(DR)を決定する段階に至った。 しかし,既存の光散乱装置では,回転拡散定数DRを決定するための偏光解消DLS測定を行うためには光量が足らないことが判明した。そこで,光散乱装置の性能を向上させるために波長488nm,出力100mWの固体レーザーを新たに購入し,装置に設置して光軸等の調整を既に終わらせた。比較的大きな光散乱能をもち,形状が棒状であることが分かっているセルロースナノ結晶試料を入手して,その回転拡散定数DRを測定することには既に成功している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
正確な研究結果を得るためには,EC試料の分子量分別を行う必要があると考えたため,通常のゲル濾過分取法に基づき,条件に適合するゲル濾過カラムやゲル充填剤を用いて分別を行っている。しかし,必要な量を分取するのに予想外に長時間を必要とするために計画よりもやや遅れる状況となっている。 光散乱装置の性能向上のために,レーザーを新たに購入・設置して,様々な調整を行うのに思いのほか時間を要しているのも,計画よりもやや遅れる状況となっている原因であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,EC試料の分子量分別を精力的に行う。併せて,ゲル濾過による分取を行っていない分子量分布が広いCE試料についての各種測定を順次行う。 光散乱装置の性能向上が実現したので,各種CE試料の水溶液中での並進拡散定数と回転拡散定数(DR)測定,さらに希薄水溶液のDLSを応用した粘弾性測定を順次行う。 小角X線散乱では散乱能が低く測定が困難な希薄水溶液の小角中性散乱実験の遂行をJPARCに申請し,CE試料の希薄重水溶液中での小角中性散乱測定に基づく溶存形態の正確な議論をさらに展開する。 本年度は本研究の最終年なので,研究目的の達成に向けて研究のペースを幾分上げ,期間内に目標を達成させる。
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