2019 Fiscal Year Research-status Report
ポリマーグラフトナノ粒子の自己組織化を利用した熱フォノニクス材料の創製
Project/Area Number |
18K19108
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
戸木田 雅利 東京工業大学, 物質理工学院, 准教授 (30301170)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 熱フォノン / ソフトマテリアル / 自己組織化 / ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
熱は物質中を拡散して伝導する。ところが,熱の通り道の幅がフォノンの平均自由行程以下の長さになると熱伝導が弾道的になることがシミュレーションで示されている。本研究では、このようなナノサイズの規則構造を大面積に作製すべく、ポリマーグラフトナノ粒子(PGNP)の自己組織化に着目した。さらにマトリクスを高熱伝導性にすべく、①ポリアクリロニトリル(PAN)を表面グラフトしたシリカナノ粒子で規則構造を形成し(SiO2(151)-PAN)、②PANを炭化してグラファイトとした後(SiO2(151)-C)に、③シリカ粒子を溶出して、規則的に空孔の空いた炭素材料(NPC(151))を作製した。 シリカ粒子分散液のUSAXS強度プロファイルから、シリカ粒子の径は151 nmと決定された。ラマン分光法とWAXDからSiO2(151)-CとNPC(151)でPANは層間距離0.74 nm、格子定数0.21 nmの構造を形成したグラファイトになっていることを確認した。 フィルム側面からX線ビームを入射して測定したSiO2(151)-PAN とNPC(151)のUSAXS像をから、SiO2(151)-PAN、SiO2(151)-C、NPC(151)のいずれにおいてもシリカ粒子(NPCでは空孔)は(111)面とフィルム表面とが平行な面心立方(FCC)格子を形成していることが分かった。最近接粒子(空孔)中心間距離はSiO2(151)-PANで194 nm、SiO2(151)-CとNPC(151)では153 nmであり、PANの炭化によって40 nm短くなることが分かった。これらの構造をSEM観察でも確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
目標とする構造材料の調製に成功しているが,熱伝導挙動の調査が遅れている.
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Strategy for Future Research Activity |
熱伝導挙動の解明に向け共同研究をより一層推進する.
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Causes of Carryover |
当初の目標である熱伝導挙動の観測を行えていないために,研究期間を延長した.
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