2018 Fiscal Year Research-status Report
希釈条件を全く必要としない閉環反応による環状ビニルポリマーの革新的制御合成
Project/Area Number |
18K19112
|
Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
高須 昭則 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (30303697)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
|
Keywords | 環状高分子 / 無希釈条件 / ビニルポリマー / アニオン重合 / ソルビン酸エステル / N-ヘテロ環状カルベン |
Outline of Annual Research Achievements |
合成化学の発展とともに進化してきた合成高分子の新たな魅力の探索には、そのトポロジー制御が不可欠である。特に、末端のない環状高分子は、そのレオロジーや分子鎖の絡み合い制御などの高分子物性と高分子合成分野をつなぐキーマテリアルである。一方で、その合成法は、2005年のGrubbsのノーベル化学賞の受賞を引き金に、メタセシス反応による不飽和環状分子の環拡大重合が主流となり、使用できるモノマーの種類に制限がある。もうひとつの合成法である線状高分子の閉環反応は、高分子合成の基軸であるリビング重合法を積極的に活用できるものの分子間の反応を抑制するために高希釈条件を必要とする(グラム単位の合成には浴槽サイズの反応容器が必要である)。本研究では、研究者の独創的な発想に基づいてN-ヘテロ環状カルベンを開始剤に用いた、リビングアニオン重合とそのN-ヘテロ環状カルベニル基(アルファ-末端)の脱離基としての性質も活用して「希釈条件を全く必要としない閉環反応による環状ビニルポリマーの革新的制御合成」を提案した。このアニオン重合では、開始末端であるN-ヘテロ環状カルベニル基(アルファ末端)は、重合中は対カチオンとして作用し、モノマーが完全に消費されたあとは脱離基として閉環反応に選択的に関与するため高希釈条件を全く必要としない(重合速度 >> 閉環反応速度の顕著な違いを活用)(高須ら、JACS 2017および高分子 2018)。この研究により、ソルビン酸エステルのアニオン重合と閉環反応による環状高分子の制御合成を確立すると同時に、リビング重合法を積極的に活用した環状高分子のサイズ制御が可能となった。今年度は、本研究に関する著書1編、論文1報、招待講演5件を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
無希釈条件下での閉環反応により環状のビニルポリマーが合成できている。また、ルイス酸存在下ではその成長反応が閉環反応よりも圧倒的に早く進行するため環状高分子の分子量分布を狭めることもできた。
|
Strategy for Future Research Activity |
申請書の計画通り研究を遂行し、重合メカニズムを明らかにすることで使用できるビニルモノマーの拡張へ展開する。
|
Causes of Carryover |
設備費を次年度に購入するため。
|
Research Products
(13 results)