2018 Fiscal Year Research-status Report
New Concept of a Crystallization Agent Based on Understanding of Mechanisms of a Liquid-Type Diluent of Enhanced Crystallizability of Polymers
Project/Area Number |
18K19115
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
櫻井 伸一 京都工芸繊維大学, 繊維学系, 教授 (90215682)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 高分子結晶 / 結晶化促進剤 / 可塑剤 / X線散乱 / 示差走査熱量測定 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究によって、100%バイオベース材料の創製を意図して、100%植物由来の液状添加剤を用いた結晶化促進剤の研究を行なった。1%程度の添加によって、ポリ乳酸の結晶化を促進することがわかったが、最終的な結晶化度の増加をもたらす結果には至らなかった。また、2%の添加では結晶化の促進効果は減退した。もちろんそれ以上の添加量では、結晶化は阻害された。このように、常識はずれの液状添加剤の場合、結晶化促進効果を発揮するためには最適添加量が存在し、それは高々1%程度であることが判明した。この常識はずれの液状添加剤による結晶化促進効果は、その存在下でポリマー鎖の折りたたみがスムーズに起こるようにポリマーマトリックス中に均一に分散した液状添加剤が作用する結果であると説明された。今後、球晶成長速度からポリマー鎖の折りたたみを含む結晶核表面の表面自由エネルギー σe を評価し、液状添加剤を含有する場合にσe が減少していることを確認する。なお、一般的な可塑剤であるフタル酸ジオクチルを1%添加したポリ乳酸試料でも同様な実験を行い、その結果、その効果は液状添加剤に比べると半分程度であったが、結晶化促進効果が確認されているため、結論に普遍性があるといえる。結晶化の促進については、Hoffman-Lauritzen理論を用いて説明できたが、これに基づき、最終結晶化度を向上させるための方針についても検討することが可能であることが示唆されているので、これに基づき更なる実験的検証を行なう必要がある。また、形成核数の時間変化が時間の0.65乗に比例するという特異な結果も得られ、その妥当性についても、さらなる研究が必要である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
原著論文を1報公表した。これは当初計画通りである。
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Strategy for Future Research Activity |
結晶化の促進については、Hoffman-Lauritzen理論を用いて説明できたが、これに基づき、最終結晶化度を向上させるための方針についても検討することが可能であることが示唆されているので、これに基づき更なる実験的検証を行なう必要がある。また、形成核数の時間変化が時間の0.65乗に比例するという特異な結果も得られ、その妥当性についても、さらなる研究が必要である。
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