2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K19135
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Research Institution | Fukuoka Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮元 展義 福岡工業大学, 工学部, 准教授 (80391267)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | ナノシート / シリル化 / アクティブ液晶 |
Outline of Annual Research Achievements |
キネシン /微小管固定化ナノシート合成の第1ステップとして、ストレプトアビジンの固定化にむけた検討を行った。シランカップリング剤とナノシートの反応自体が進行していることは赤外分光スペクトル等で確認された。しかし、反応過程でのナノシートの凝集を抑制できず、修飾密度も大きくできないという問題が生じた。この問題をペンディングにしたまま、キネシン /微小管固定化ナノシート合成の次ステップに進むことも考えたが、最終的なアクティブナノシート系構築という目標を達成するには、理想的な剥離状態を維持しながら修飾密度を制御した合成を行う事が極めて重要である。そこで、合成の第1ステップの課題を可能な限りクリアしていくことに重点を置いて、さらなる検討を進めてきた。具体的には、溶媒の選択や、反応条件の検討を行うことで、剥離状態や修飾密度の制御が可能になることがわかってきた。今後さらなる条件検討を行っていく。 また、高分子ゲルにナノシートを固定化したあとに、シリル化反応を行い、後にゲルを分解してナノシートを取り出すという、新しい合成法の開発にも取りかかった。高分子ゲルの架橋点に酸分解性基を導入することで、後処理によるゲルの除去が可能となることが分かった。また、この分解性ゲルにナノシートを完全に分散させて固定化する事にも成功した。これらの結果に基づき、今後、実際にナノシートにストレプトアビジンなどを固定化することを試みる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
キネシン /微小管固定化ナノシート合成の第1ステップとして、ストレプトアビジンの固定化を試みた。シランカップリング剤とナノシートの反応自体が進行していることは赤外分光スペクトル等で確認された。しかし、反応過程でのナノシートの凝集を抑制できず、修飾密度も大きくできないという問題が生じている。この問題をペンディングにしたまま、キネシン /微小管固定化ナノシート合成のステップに進むことも考えたが、最終的なアクティブナノシート系構築という目標を達成するには、理想的な剥離状態を維持しながら修飾密度を制御した合成を行う事が極めて重要である。このため本年度は、合成の第1ステップの課題を可能な限りクリアしていくことに重点を置いて検討を進めてきた。具体的には、溶媒の選択や、反応条件の検討に加え、高分子ゲルを利用した新しい合成法の開発にも取りかかっている。 しかしながら、ナノシートへのキネシン /微小管固定化は、この研究の重要なポイントかつチャレンジの1つであり、当初から困難が予想されていた。したがって、現在の進捗状況は想定内の範囲であり、「概ね順調/やや遅れている」と判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年に引き続き、まずは第1ステップの反応を理想的に進行させるための検討をしっかりと行う。とくに、高分子ゲルを利用した新しい合成法開発は、他の研究への波及も期待できるため、重点的にコストをかけて取り組んでいく。完全に理想的な合成を実現するのは難しいかもしれないが、ある程度のレベルにまで達した段階で、キネシンや微小管固定化などの、以降の研究ステップにも進んでいく予定である。
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Causes of Carryover |
計上していた予算の大部分は、合成の第1ステップが完了したあとに必要なものであった。本研究の第1ステップの合成を理想的に進行させるために時間を要したため、2018年度での予算使用は限定的となった。第1ステップでは、これまで当研究室で行っていた研究との共通点もあり、既存の装置、器具、薬品等で検討が可能であったので、予算を繰り越し次年度に使用することにした。次年度は、研究の次のステップに入り、当初想定していた備品等を購入して研究を進めていく予定である。
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