2018 Fiscal Year Research-status Report
Rational design of artificial radical enzymes bearing unusual protein-derived cofactor
Project/Area Number |
18K19151
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
藤枝 伸宇 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (00452318)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 人工金属酵素 / 翻訳後化学修飾 / 自己水酸化 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、種々の酵素やタンパク質分子内で、従来の翻訳後修飾(リン酸化等)の枠組みを超える化学的に高度な修飾を受けたアミノ 酸側鎖が相次いで発見されてきた(Chem. Biol., 7, 1R159 (2000)) 。中でも芳香族アミノ酸から生じる特殊な側鎖は配位子や 補欠分子族 (Protein-derived cofactor (PDC)) として機能中枢を司るものが多く、その機能は多岐にわたる。TyrやTrpから派生したPDCはキノン型の求電子的な性質を始めとし、他の有機補因子にはない物理化学・触媒化学的に稀有な性質を示すことが 分かっている。そこで、本研究では従来の酵素で達成できない化学反応触媒を志向したCPDCを補因子とする高活性なラジカル酵素の創出に挑戦し、この過程において高難度C-H結合の活性化やC-C結合形成における新規ケミストリーを発見を目指し、計画を実行した。具体的には、小さな分子量を持つキュピンタンパク質を土台とし様々な位置に導入したチロシンとシステイン間の架橋形成が可能であることを示した。すでに、3種類の変異体において、形成を結晶構造解析によって確認し、近傍のアミノ酸に変異導入することによって、その形成が促進されることも確認した。最も架橋形成が進行する変異体では、さらに、結晶を還元剤で処理することによって、さらなる酸化反応が進行することを確認し、新規PDCの形成を確認するとともに、この手法の有用性を明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者らはProtein Databaseから小型(10kDa)で金属結合部位があり、かつ基質結合場を備えたいくつかの土台タンパク質候補の中から、double stranded β-helixモチーフを持つキュピンファミリータンパク質を用いてきた。3つのヒスチジンからなる金属結合部位に鉄や銅を接合し、Tyrを結合部位から距離を変えて変異導入した(残基番号:Ile49, Ile60, Cys106, Ile108)。そのうちのI60Y, C106Y, I108Y変異体ではTyr-Cys結合を形成することを、UV-visスペクトルやESR、共鳴ラマンスペクトルおよび質量分析、X線構造解析によって確認した。また、さらに、結晶を還元剤で処理することによって、さらに酸化させることに成功し、天然では見られたことのないCPDC構築の可能性を見出した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は還元剤での処理条件を最適化し、天然にはないCPDC形成を進める。すでに、結晶構造解析では余分な電子密度が観測されており、システイニルチロシルキノンの形成が観測された。さらなる条件検討により、溶液状態でもこの新規PDCの形成を達成する計画である。また、このキノンへの求核付加反応を狙い、近傍にCys, His (Lys, Tyr)などの求核性アミノ酸を導入した変異体を作製し、架橋構造形成の有無を確認する。また、近傍にTyrやMetを追加導入し、別のCPDCの形成を試していく。上記方法を遂行する際に困難が生じた場合は、同様のキュピンタンパク質のホモログに加え、小型でかつ安定であるタンパク質モチーフ、(partly opened β-barrelモチーフのVOCタンパク質(PDB: 3rmu))を選択し順次、上記方法を試していく。
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Research Products
(12 results)