2019 Fiscal Year Annual Research Report
exploring the significance of initiation methionine by creation of non-methionine translation initiation E. coli
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18K19167
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長尾 翌手可 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (30588017)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | タンパク質合成 / tRNA / メチオニン |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度は, カウンターセレクション法によって細胞内の全開始tRNAをプラスミド由来の変異tRNAに置き換える実験系を構築し,いくつかの目的変異tRNA発現細胞を得ることができた.しかし,得られた変異体では複数種のプラスミドが共存した状態で生存していることが判明した.そのため,今年度は変異tRNA発現細胞の単離を繰り返し試みたが,共存状態を維持しないと生存できないことが分かった.そこで,低コピー数プラスミドを用いて実験系を再構築し同様の実験を行ったところ,複数種のプラスミドが共存する状況は改善されたが,得られた変異tRNAはメチオニンを受容するものであった.また,開始tRNAに他のアミノ酸を受容させるような認識塩基を積極的に導入したところ,カウンターセレクション前では生存が確認されたものも,カウンターセレクション後に生存することができなかった.これらの観察から,翻訳開始メチオニンの役割は生存において想像以上に重要であり,その改変は非常に難しいことが予想された.しかし,上記で単離できた変異tRNA細胞のうち,アンチコドンに隣接するA37に化学修飾が起きているものやG,Cに置換された変異体について翻訳開始異常や低温感受性が観察された.さらにプロテオーム解析やリボソームプロファイリングを行った結果,非AUG開始遺伝子(大腸菌の約10%)の発現低下や翻訳開始位置へのリボソームの蓄積が観察され,非AUG開始遺伝子の翻訳に37位の塩基が関連していることが判明した.また,タンパク質N末端メチオニンの多くは翻訳後除去されてしまうため,成熟したタンパク質ではN末端のアミノ酸解析は難しい.そのため,合成中の新生タンパク質を質量分析によって解析する系の構築を試みた.その結果,大腸菌の500種類近くの合成中タンパク質の同定に成功し,N末端もホルミル基が付加した状態での検出も可能となった.
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Research Products
(2 results)