2018 Fiscal Year Research-status Report
Construction of a tool library for the production of various kinds of hydroxyl fatty acids using hydration reaction
Project/Area Number |
18K19175
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
岸野 重信 京都大学, 農学研究科, 准教授 (40432348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 道樹 京都大学, 農学研究科, 特定助教 (40766193)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 水酸化脂肪酸 / 水和酵素 / 微生物 |
Outline of Annual Research Achievements |
水酸化脂肪酸は食品・医薬品、化成品分野など多分野において機能性素材として注目を集めている。水酸化脂肪酸の機能性は水酸基の位置、二重結合の数や位置、炭素鎖長により異なるが、有機合成法では立体及び位置選択的な水酸基の導入が困難である。そこで本研究では様々な不飽和脂肪酸に対し立体および位置選択的に水酸基を導入し、革新的なオンデマンド水酸化脂肪酸生産を実現するための微生物由来の脂肪酸水和酵素ライブラリーの確立を目的とした。 本年度は新規脂肪酸水和酵素取得のため嫌気性細菌からのスクリーニングを行い、炭素鎖数20および22の長鎖不飽和脂肪酸に対し高い水和活性を示す細菌を見出した。さらに本菌からの酵素精製により既知の脂肪酸水和酵素と異なり炭素鎖数20以上の長鎖不飽和脂肪酸に対し高い親和性を示す新規脂肪酸水和酵素の単離に成功した。さらに、本酵素をコードする遺伝子を同定し、大腸菌を宿主とした異種発現系を確立した。さらに、脂肪酸水和酵素の基質特異性を改変するために、これまでに申請者らが明らかにしたLactobacillus acidophilusが有する異なる基質特異性を示す2種類の脂肪酸水和酵素、FA-HY1 (リノール酸の13位に水酸基を導入)およびFA-HY2(リノール酸の10位に水酸基を導入)をモデルとして、in silico解析により基質を認識する残基を推定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は(1)新規脂肪酸水和酵素の精製・機能解析(2)遺伝子情報を活用する脂肪酸水和酵素の探索(3)タンパク質工学による機能改変を実施予定としていた。 これらに関して(1)については、嫌気性細菌からのスクリーニングを行い、これまでに報告されていない基質特異性を有する脂肪酸水和酵素の単離・同定に成功した。また、本酵素の異種発現系を確立した。 (2)に関しては、アミノ酸配列の相同性に基づいた新規の基質特異性を有する脂肪酸水和酵素のin silico探索を行い、これまでに明らかにされている細菌由来脂肪酸水和酵素とアミノ酸配列の相同性が低い細菌由来脂肪酸水和酵素を数種類ピックアップした。さらに、ピックアップした脂肪酸水和酵素の一部に関して異種発現系の確立に成功した。 (3)においては、FA-HY1およびFA-HY2をモデル酵素として、in silico解析から両酵素の基質特異性の違いに寄与する残基を推定した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り次年度は(1)遺伝子情報を活用する脂肪酸水和酵素の探索(2)タンパク質工学による機能改変(3)脂肪酸水和酵素の機能解析を行う予定である。 (1)に関しては細菌に限らず真菌類も含めたさらなるin silico解析を行い、脂肪酸水和酵素の探索を行う。ピックアップした脂肪酸水和酵素に関しては、異種発現系の確立を試みる。 (2)に関しては、FA-HY1とFA-HY2をモデル酵素として、本年度in silico解析により基質特異性に寄与すると推定した残基に変異を導入した変異型酵素を作出する。さらに、作出した変異型酵素の基質特異性解析行い、推定した残基の基質特異性への寄与を解析する。 (3)に関しては、前年度に嫌気性細菌より単離・同定した新規長鎖脂肪酸水和酵素および(1)におけるin silico解析によりピックアップした既知の脂肪酸水和酵素との相同性が低い脂肪酸水和酵素に関して、詳細な基質特異性の解析を行う。具体的には炭素鎖長および二重結合の数が異なる脂肪酸との反応を行い、生成物の同定および反応効率の比較を行う。得られた基質特異性と脂肪酸水和酵素のアミノ酸配列の比較を行い、(2)に応用する。
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Research Products
(7 results)