2018 Fiscal Year Research-status Report
タンパク質を酵素的にポリアミンで修飾する技術の開発
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18K19180
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
池田 丈 広島大学, 先端物質科学研究科, 助教 (10505754)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 細菌 / ケイ素 / ポリアミン |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリアミンは2個以上のアミノ基を有する通例直鎖上の炭化水素であり、短鎖のポリアミンは全ての生物に共通して高濃度で存在する。一方、一部の生物には非常に多くのアミノ基を有する長鎖ポリアミン(long-chain polyamine; LCPA)が存在することが知られていたが、その生合成経路は不明であった。本研究の目的は、中温性細菌が有する長鎖ポリアミン合成酵素を同定し、本酵素が有すると予想されるアミノプロピル基付加活性を利用することで、タンパク質を酵素的にポリアミンで修飾する技術を開発することである。タンパク質をポリアミン修飾することで、タンパク質に対して細胞膜透過効果の付与やシリカに対する結合性の付与が可能になると期待される。 Bacillus属細菌において、破壊するとLCPAが検出されなくなる遺伝子を既に見出している。本遺伝子の産物が実際にLCPA合成酵素であることを証明するためには、酵素反応によって生じるLCPAの検出が不可欠である。本年度は、イオンペア試薬を用いた逆相クロマトグラフィーとポストカラム誘導体化を組み合わせたLCPA検出法の開発を行った。また、発見した候補遺伝子を大腸菌内で発現させることで、LCPAが合成されるかどうかを検証した。 組換えタンパク質を発現させた大腸菌の菌体よりポリアミンを抽出し、開発した検出法に供したところ、特徴的なピーク群が観察された。本ピーク郡を含む画分を質量分析に供したところ、鎖長の異なる複数のLCPAが含まれていることが確認された。これらの結果から、発見した遺伝子が予想通りLCPA合成酵素をコードしていることが支持された。また、開発した検出法によって鎖長の異なるLPCAを分離して検出できることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前述の通り、発見した遺伝子を大腸菌内で発現したところ細胞内でLCPAが合成されることは確認できた。しかし、発現した組換えタンパク質を精製して活性を測定したところ、in vitroでは活性が認められず、精製タンパク質によるLCPA合成の確認には至らなかった。この理由として、精製過程で酵素の失活が生じた可能性、ならびに、LPCA合成には何らかの他の因子が必要な可能性が考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
精製タンパク質のLCPA合成活性が未確認であることから、精製条件ならびに活性測定の条件を見直して、引き続き活性確認を行う。in vitroでのLCPA合成活性が確認できたら、ポリアミンとよく似た構造を側鎖として有するアミノ酸であるリジンを基質としてアミノプロピル基転移反応が生じるかを検証する。
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Causes of Carryover |
研究計画に若干の遅れが生じたため、次年度使用額が生じた。当該分は次年度に執行する。
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