2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
18K19198
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
経塚 淳子 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (90273838)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | イネ / 細胞周期抑制因子 / EL2 / 種子稔性 / 低温 |
Outline of Annual Research Achievements |
植物に特異的な細胞周期抑制因子であるEL2とEL2-like遺伝子が、不良環境下における稔性維持に必要な遺伝子であるという予備的結果を得た。そこで、これら遺伝子の機能を解析すれば冷害が起こるメカニズムの根本的な理解につながり、ひいては、冷害に強いイネを作出するための突破口になるという着想を得た。本研究では、EL2、EL2-like 遺伝子の低温応答メカニズムおよびEL2、EL2-likeタンパク質の機能を明らかにし、さらに、その知見を利用して冷害に強いイネの作出を試みることにした。 まず、CRISPR法によりEL2およびEL2-LIKE遺伝子の機能欠損変異体を作出し、これらを交配して二重変異体を作出した。これらの変異体の成長パターンや外観は野生型植物とは違わなかった。さまざまな温度環境下におけるel2 el2-like二重変異体の表現型(種子稔性)の調査を進めた。まず、低温処理を行う成長ステージ、処理の長さ、低温の程度等を決定する必要があった。さらに、EL2、EL2-like 遺伝子が機能を発揮する温度条件や成育時期を明らかにする必要もあった。解析のための植物はインキュベーターを用いて環境を完全に制御した条件で育成したため、様々な条件を細かく検討することが難しかった。2019年および2020年度は、生殖成長へ転換後の2週間、20度から32度まで温度を変えて育成することによる種子捻性への影響を調査した。その結果、el2、el2-likeおよび二重変異体で種子稔性の低下が認められたが、変異体では広い範囲の条件で稔性が低下し、特に低温特異的ではなかった。GUS遺伝子を用いた発現解析により、EL2、EL2-LIKEは全体的に弱く発現していることが分かった。また、タンパク質局在を観察するためのベクターを構築し、これを導入した組み換えイネを作成したが蛍光を観察することができなかった。
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