2018 Fiscal Year Research-status Report
Identification of HAMPs from a chewing insect and its roles in plant immunity
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18K19210
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
吉岡 博文 名古屋大学, 生命農学研究科, 准教授 (30240245)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
近藤 竜彦 名古屋大学, 生命農学研究科, 講師 (30362289)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 植物免疫 / 虫害抵抗性 / シグナル伝達 |
Outline of Annual Research Achievements |
咀嚼昆虫が抵抗性誘導物質を生産する例が報告され、HAMPs (herbivore-associated molecular patterns) と呼ばれるようになってきた。しかし、咀嚼昆虫に対する植物免疫機能の実態は依然としてよくわかっていない。ニジュウヤホシテントウによって加害されたベンサミアナタバコ葉では、細胞壁のペルオキシダーゼに依存した活性酸素種 (ROS) が生成され、抵抗性が誘導される。さらに、テントウの吐き戻し液成分の中にペルオキシダーゼを活性化する物質が存在することを見出した。本研究課題では、ニジュウヤホシテントウ由来のHAMPを精製し、その構造を決定することを第一の目的とする。本研究の成果によって、咀嚼昆虫と植物間における新たなシグナルネットワークの発掘を可能にする先駆的モデルを提示するとともに、病害虫抵抗性付与の戦略を構築する。 ニジュウヤホシテントウは、摂食する過程でHAMPを分泌する。この分泌液画分で処理すると、DAB染色によるROS誘導が確認された。このROS蓄積は、細胞壁ペルオキシダーゼ阻害剤であるSHAMによってほぼ完全に阻害された。粗抽出液に含まれるHAMPの精製を進めるため、粗抽出液にエタノールを加え、遠心分離して上清液を回収し、水に溶解した後に酢酸エチルを重層して水相画分を得た。ブタノール可溶画分を用いてアッセイした結果、ベンサミアナ葉においてROS生成活性が認められた。この粗精製物を大量のニジュウヤホシテントウの吐き戻し液から集め、各種カラムを用いてROS誘導活性画分を精製・収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、以下の3つの項目から成り立っている。 1) HAMPの精製および構造決定:これまで確立してきた精製方法によってHAMPを収集し、最終的にはその構造を決定する。 2) ニジュウヤホシテントウの摂食およびHAMPによって誘導される遺伝子の網羅的解析:ニジュウヤホシテントウの摂食およびHAMP処理によってベンサミアナ葉で誘導される遺伝子をRNA-seq 解析し、細胞壁ペルオキシダーゼ遺伝子の候補を探索する。 3) HAMP誘導ペルオキシザーゼの決定と役割:候補遺伝子をサイレンシングし、HAMPで誘導されるペルオキシダーゼを特定すると共に、虫害抵抗性における役割を明らかにする。 本年度は、ニジュウヤホシテントウから吐き戻し液を大量に回収し、粗抽出液に含まれるHAMPの精製を進めた。粗抽出液にエタノールを加え、遠心分離して上清液を回収し、水に溶解した後に酢酸エチルを重層して水相画分を得た。ブタノール可溶画分を用いてアッセイした結果、ベンサミアナ葉においてROS生成活性が認められた。このROS生成は、細胞壁ペルオキシダーゼ阻害剤であるSHAMによってほぼ完全に阻害された。この粗精製物を大量のニジュウヤホシテントウの吐き戻し液から集め、各種カラムを用いてROS誘導活性画分を収集した。来年度は、この活性画分を大量に集め、化学構造を決定する予定である。以上のように、本年度は、HAMPの精製過程において概ね計画通りに進んでいると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
ニジュウヤホシテントウによって加害されたベンサミアナタバコ葉では、細胞壁のペルオキシダーゼに依存した活性酸素種 (ROS) が生成され、抵抗性が誘導される。さらに、テントウの吐き戻し液成分の中にペルオキシダーゼを活性化する物質が存在することを見出した。本研究課題では、ニジュウヤホシテントウ由来のシグナル物質 (HAMP) を精製し、その構造を決定することを第一の目的とする。さらに、この物質の標的と思われるペルオキシダーゼ遺伝子を同定する。本研究の成果によって、咀嚼昆虫と植物間における新たなシグナルネットワークの発掘を可能にする先駆的モデルを提示するとともに、病害虫抵抗性付与の戦略を構築する。 本年度は、ニジュウヤホシテントウから吐き戻し液を大量に回収し、粗抽出液に含まれるHAMPの精製を進めるた。粗抽出液にエタノールを加え、遠心分離して上清液を回収し、水に溶解した後に酢酸エチルを重層して水相画分を得た。ブタノール可溶画分を用いてアッセイした結果、ベンサミアナ葉においてROS生成活性が認められた。このROS生成は、細胞壁ペルオキシダーゼ阻害剤であるSHAMによってほぼ完全に阻害された。この粗精製物を大量のニジュウヤホシテントウの吐き戻し液から集め、各種カラムを用いてROS誘導活性画分を収集した。来年度は、この活性画分を大量に集め、化学構造を決定する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は概ね計画通り研究が進んだが、ニジュウヤホシテントウからHAMPs (herbivore-associated molecular patterns) を精製するには至っていない。精製に必要な消耗品の購入予定であった138,509円を繰り越し、来年度使用する運びとなった。次年度の予算と合わせて、これらの残金を使用する予定である。具体的には、HAMP精製に必要な各種カラム、有機溶媒などを購入する。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] RNAi of the sesquiterpene cyclase gene for phytoalexin production impairs pre‐ and post‐invasive resistance to potato blight pathogens2019
Author(s)
Yoshioka, M., Adachi, I., Sato, Y., Doke, N., Kondo, T. and Yoshioka, H.
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Journal Title
Molecular Plant Pathology
Volume: 印刷中
Pages: 印刷中
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] WRKYs phosphorylated by MAPK regulate chloroplast-mediated ROS burst in plant immunity2018
Author(s)
Yoshioka, H., Adachi, H., Ishihama, N., Belhaj, K., Takano, Y., Kamoun, S., Sato, M. and Yoshioka, M.
Organizer
International Congress of Plant Pathology (ICPP) 2018
Int'l Joint Research
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