2020 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of biological impacts on host plants by gut bacteria of tephritid fruit flies
Project/Area Number |
18K19217
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
松浦 優 琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 助教 (80723824)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 英臣 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (70748425)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | ミバエ / 腸内細菌 / 寄主植物 / 果実 / 共生 / 分子系統解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
計画最終の本年度はiSeqシーケンサーによるミバエ類の腸内細菌叢の解析に集中し、沖縄県内において採集されたミバエ類6種と県の農業センターに保管されていた害虫3種を含む合計9種303個体の各組織や全身サンプルならびに6種の寄主果実(シマトウガラシ、ピーマン、ししとうなどでミバエのありなしを区別)110個の果肉より抽出したDNAの16SrRNA遺伝子アンプリコン解析を完了した。沖縄島、宮古島、久米島産のナスミバエおよびフクギミバエ個体から単離培養した細菌1633株について、16SrDNAの部分配列(約600 bp)に基づき、iSeqのリードデータと組み合わせてOTUを整理して、前年度の35から10の主要なOTUに絞り込んだ。それらのOTUを含む培養株を134系統凍結保存したのち、全長配列を取得することで各細菌の分子系統解析、特異的な5種類の蛍光オリゴヌクレオチドプローブの設計、培養後のFISHによる細胞の染め分け実験に成功した。同じプローブによりナスミバエの飼育幼虫および成虫を観察し、異なる腸内細菌が中腸の後端部位に保持されていることも確認した。また、8世代に渡り室内で飼育したナスミバエ系統から再度腸内細菌をDNA解析、単離培養した結果、宿主系統ごとに腸内細菌が安定的に維持されていることを確認した。次に、宿主昆虫の系統的位置と種内の遺伝構造を解析するため、ミトコンドリアゲノムのマーカー遺伝子の検討を実施した。5遺伝子をシーケンス解析した結果、COIIとND4遺伝子で十分な変異数を確保できることが判明した。また、国内に存在するナスミバエには少なくとも由来の異なる2つの遺伝的に近い系統が沖縄県に分布していることがわかった。これらの成果をまとめ、ミバエ類における寄主果実への適応と腸内細菌の多様性、関係性について解析した結果を発表する予定である。
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Research Products
(7 results)