2018 Fiscal Year Research-status Report
Development of simultaneous analysis method of whole community structure from bacteria to whale
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18K19223
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊知地 稔 東京大学, 大気海洋研究所, 特任研究員 (10633894)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 環境RNA / 全生物群集構造同時解析 / ロングリードシーケンス / キャプチャーシーケンス |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、rRNAを対象としPCRを介さずにRNAから必要な量のcDNAを逆転写だけで確保し、ロングリードシーケンサーで塩基配列を解読する手法(解析法1)を海洋生態系に適用できるか検証した。本検証では、分析に必要な試料量と、RNAをcDNAに逆転写する条件の検討をした。逆転写には、オリゴdTプライマーを用いる方法(原核生物はポリA付加後)と、ランダムプライマーを用いる方法があるが、条件検討から前者を選択した。海水試料は、東北海洋生態系調査研究船(学術研究船)新青丸を利用して採取済みのものを使用した。 レゴランド・ジャパン・リゾートの協力の元、シーライフ名古屋(水族館)で試料を採取した。本検証では、試料採取法とRNA抽出法の検討を行った。解析法1と従来のPCRによる遺伝子増幅法に基づく群集構造との比較のために、アンプリコンシーケンシングも行った。 また、新たな試料採取法として自動採水ろ過装置の試作を行い、試料採取が可能であるのを確認した。 さらに、新青丸を利用した調査で得られた真核生物のうち、公共データベースに遺伝子配列が登録されていない、もしくはほとんどないものに関しては、優先順位をつけて遺伝子配列の解読とその登録を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
得られたシーケンスデータをアノテーションする際に、全生物を網羅したリファレンスデータが無く、効率的に解析することが出来ていない。もっと言えば、水産学上の有用魚種ですら遺伝子配列のデータが十分に調べられていないのが現状であった。 全生物群集構造同時解析のためにはリファレンスデータの整備が必要であり、次年度はここに注力しようと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度目は、今年度の解析法1で得られた遺伝子配列と既存の遺伝子配列データからプローブを設計し、全ての転写産物を対象として長断片化したDNAもしくは完全長RNAをハイブリダイゼーションで分取後にロングリードシーケンサーで塩基配列を解読する手法(解析法2)を海洋生態系に適用できるかを検証する予定であった。しかし、「現在までの進捗状況」にも記載したように、全生物群集構造同時解析のためのリファレンスデータの整備を先にする必要があり、研究計画の変更を行う。 ただし、rRNAを対象としたデータ取得は引き続き行い、全ての遺伝子(転写産物)を対象にした要素技術の開発は次期研究で行う予定である。
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Research Products
(12 results)