2019 Fiscal Year Research-status Report
植物プランクトンの多様な光利用戦略:ロドプシンを用いた新奇な光利用機構の探索
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18K19224
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉澤 晋 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (00553108)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神川 龍馬 京都大学, 人間・環境学研究科, 助教 (40627634)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 微生物生態 / 植物プランクトン / 光エネルギー / 物質循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
生物は太陽光エネルギーをどのような機構で化学エネルギーに変換しているのか?次世代シーケンサーの登場により機能未知光受容体配列(ロドプシン)が爆発的なスピードで蓄積する近年において、生物の持つ光利用機構はこれまで考えられていた以上に多様であることが分かってきた。本研究では植物プランクトンの持つ “ロドプシン”が、光合成とは異なる光エネルギー受容体として機能するのかを、トランスクリプトームデータの大規模情報解析、異種発現系を用いた機能解析、リコンビナント遺伝子の異種発現による細胞内局在解析を駆使することで解き明し、植物プランクトンの持つ新奇な太陽光エネルギー利用機構の存在を問う挑戦的な試みである。
本年度は以下の2つの課題をおこなった。 1. 植物プランクトンロドプシンの機能解析: 情報解析で検出された未知ロドプシン遺伝子配列を人工的に合成し、大腸菌を用いた異種発現システムを用いて機能解析を行った。本年度は、主に褐虫藻及び珪藻のトランスクリプトームから見出した複数のロドプシンの機能解析を実施した。10配列中の5配列で、イオン輸送活性が測定できた。しかしながら、1配列は異種発現大腸菌がイオンを輸送する挙動は見られたが、能動的な輸送ではなく、チャネル様の振る舞いを示した。来年度以降は、このロドプシンに注目し、チャネル機能の詳細な解析を実施する予定である。 2. 植物プラクトンロドプシンの細胞内局在解析: ロドプシンと緑色蛍光タンパク質と結合させたリコンビナント遺伝子を用いて、細胞内局在を調べた。具体的には、緑色蛍光の局在を蛍光顕微鏡下で観察し、核の位置はDAPI染色で調べた。本年度は培養条件及び蛍光顕微鏡観察条件の検討を実施した。来年度以降に植物プランクトンロドプシンの細胞内局在を明らかにしたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
植物プランクトン由来のロドプシンのイオン輸送活性の測定に複数配列で成功している。また、ロドプシンの細胞内局在を解析するためのリコンビナント遺伝子の作成にも成功しており、来年度以降に詳細な結果をえられると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、リコンビナント遺伝子を用いた異種発現系を用いた、ロドプシンの局在解析を主に実施する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度は大きな問題なく研究が進展し、想定してた以上に試薬の消費が抑えられたため、次年度に繰越が生じた。次年度は、植物プラクトンロドプシンの細胞内局在解析のために抗体の作成費用として使用する予定である。
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