2020 Fiscal Year Research-status Report
外的環境要因によって発現する心材形成誘導因子の探索
Project/Area Number |
18K19231
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
坂本 正弘 京都大学, 農学研究科, 准教授 (40303870)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高部 圭司 京都大学, 農学研究科, 教授 (70183449) [Withdrawn]
粟野 達也 京都大学, 農学研究科, 助教 (40324660)
中沢 威人 京都大学, 農学研究科, 助教 (80608141)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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Keywords | 心材形成 / 師管液 / NACドメイン転写因子 / プロテインキナーゼ / ペルオキシダーゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度伐採した樹齢60年のスギより得られた師管液並びに仮道管液を遠心濃縮フィルターにより遠心濃縮をおこない、膜上層画分と濾液画分に分画した。師管液および仮道管液から得られた膜上画分をさらに透析したのち、SDS-PAGEによって分離した。師管液からは3個、仮道管液からは7個のバンドが検出された。SDS-PAGE後、PDVF膜に転写した後、師管液、仮道管液のタンパク質のうち明瞭なバンドを切り出し、ペプチドのN-末端分析に供した。その結果、師管液からは1種類、仮道管液からは3種類のペプチドに関してN-末端のアミノ酸配列を決定することができた。得られたアミノ酸配列をデータベースで検索した結果、師管液(PS)から得られたPS50はシトカトウヒやヒノキのペルオキシダーゼと相同性が見られた。また、仮道管液(XS)から得られたXS20はアブラナ科の外来種であるルベラナズナのNAC-ドメインを含むタンパク質に、XS37はアブラナのプロテインキナーゼドメインを含むタンパク質にそれぞれ相同性が見られた。なお、XS48は読めたアミノ酸配列が短かっためかデータベースにはヒットしなかった。 師管液中に細胞壁の木化にも関与するペルオキシダーゼが見出されたことは大変興味深い結果である。また、仮道管液にもNACドメイン転写因子が含まれていたことは通導組織形成に関係すること、シグナル伝達や代謝の調節因子として働くプロテインキナーゼが見出されたことも興味深い結果となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウィルスの感染拡大を受けて緊急事態宣言もあり、サンプリングや実験に多大なる影響があり、遅れが生じた。とくに季節ごとの葉からRNAを抽出する計画に影響が大きく、予定していた実験が完了せず、延長申請を行うに至った。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は新型コロナの影響でサンプリングに支障を来たしたことから、新たにサンプリングを行い、RNAを抽出し以前抽出したサンプルと合わせてRNA-seq解析を委託する予定である。 幹の内樹皮から師管液・仮道管液を採取し、ペプチド・オリゴ糖分析に成功した。幹と比較すると採取量は少なくなると予想されるが、同様の手法を用いて枝からの師管液を採取することは可能であると考えられるので枝からの師管液採取し、分析に供するとともに師管液中に見出されたNACドメイン転写因子、プロテインキナーゼ、ペルオキシダーゼについて解析を予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大のため、研究計画に支障を来たし、延長申請となったため。
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