2022 Fiscal Year Annual Research Report
Physiological ecology of Noctiluca having phototrophic endosymbiont
Project/Area Number |
18K19239
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Research Institution | Soka University |
Principal Investigator |
古谷 研 創価大学, プランクトン工学研究所, 特別教授 (30143548)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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Keywords | ヤコウチュウ / 赤潮 / 共生藻 / 温暖化 |
Outline of Annual Research Achievements |
フィールドにおけるミドリヤコウチュウの動態解明が、コロナ禍による海外渡航規制のため実施できてこなかったが、今年度はマレーシア(2022年10月13-16日)とフィリピン(同年11月17-23日)において実施した。マレーシア側研究者からのブルーム情報によりポートディクソン周辺海域においてミドリヤコウチュウによる無機窒素塩取り込み実験を行った。しかしながら有意な取り込み活性を得ることはできなかった。調査時にはすでにブルームが消滅し、細胞密度が低かったことが主因であった。一方、フィリピンのマニラ湾では、ヤコウチュウが頻繁に海面に濃密なブルームを形成することから、海面表層ミクロ層(SML)およびその直下水(SSW)の観測を主目的として調査を行ったが、あいにくマニラ湾ではミドリヤコウチュウの分布を捉えることができなかった。このためバックグラウンド情報としてSMLおよびSSWについて以下を明らかにした。SMLの水温はSSWと比較して1℃程度高く、塩分は0~10程度低く、マニラ湾極表層には高水温低塩分のフィルム層が存在した。この違いを反映して、今回測定したいずれの栄養塩類(SiO2, PO4, NO2, NO3)においてもSMLにおいてSSWと同程度か1.5倍程度の値が見られ、SMLはSSWと比較して高栄養塩環境となっていたが、クロロフィルa濃度では、すべての観測点でSMLが1/2~1/5倍程度有意に低い値を示した。SMLに植物プランクトンの増殖に必要な栄養塩類環境が存在するにも関わらず、SSWに比べて有意に低いクロロフィルa濃度を示した理由としては、強光阻害による増殖の制限、あるいは陸水の影響を受けていることが示唆された。今後、バクテリア現存量と環境要因との関係を解析する予定である。これまでマニラ湾ではSMLおよびSSWの調査例はなく、初めての知見となった。
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Research Products
(3 results)