2019 Fiscal Year Research-status Report
Novel challenging toward the molecular mechanism of fruiting-body formation starting from isolation of the endogenous active substance
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18K19241
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Research Institution | Forest Research and Management Organization |
Principal Investigator |
西村 健 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (10353799)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
砂川 政英 国立研究開発法人森林研究・整備機構, 森林総合研究所, 主任研究員 等 (30370282)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | ヒラタケ / 子実体誘導物質 / 子実体形成機構 / グルコシルセラミド / トリアシルグリセロール / 栄養菌糸 / 子実体原基 / 子実体 |
Outline of Annual Research Achievements |
活性成分を含む事が想定されるヒラタケ子実体(FMC246株)のアセトン抽出物について、シリカゲルカラム・TLCによる多段階の分画・精製を実施した。乾燥重量3.49gの菌体から得た抽出物58mgを供試し、展開溶媒としてEtOAc/Hex系(1:9~1:4)とMeOH/CH2Cl2系(2%~10%)を適宜選択した。概ね単一成分のみを含む形で18フラクションに分画し(極性の低いものから順にA~K、各0.1~4.0mg)、NMRによる構造解析を実施した。主な成分はエルゴステロール(D3:4.0mg)、真菌タイプのグルコシルセラミド(K:2.0mg)、トリアシルグリセロール(A~C3:計4.1mg、いずれも不飽和脂肪酸を結合)、不飽和脂肪酸(D1:2.5mg、D2:2.4mg)であり、残りのE2~Iは炭素骨格上に2重結合やメチル基、水酸基、カルボニル基を様々に有する脂質系化合物である事が推定された。A~KをPD法による活性試験に供し(各10μgディスク添加)現在経過を観察中である。原基と栄養菌糸菌体からのアセトン抽出物についても同様の分画をすすめており、培養ステージの異なる菌体間における脂溶性成分に関する発現量の相違がTLC的に示唆されている。特に原基に特徴的なTLCスポット(Rf0.2、10%MeOH/CH2Cl2)について、これに相当する成分の構造と子実体誘導活性に興味が持たれる。他方、ヒラタケの3つの培養ステージ(菌糸、原基、子実体)からmRNAを抽出し、RT-PCR法によりcDNAを単離した。それらのcDNAを用いて、150プライマーについてRAPD分析を行った。その結果、それぞれの培養ステージで482、 484および483のDNA断片が得られた。150プライマーの殆どで、3つの培養ステージのDNA断片パターンは同じであったが、幾つかのプライマーにおいて、原基および子実体に特異的なDNA断片が検出できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脂溶性成分に関する網羅的なクロマト的分離プロセスがある程度確立され、本課題におけるキー物質の1つであると考えられる真菌タイプのグルコシルセラミドがヒラタケ自身から単離された。国内外における成果発表も3件行い、概ね順調に進捗していると判断した。なお、コロナによる緊急事態宣言を踏まえ、代表者・分担者とも令和2年4月より在宅勤務の状況にあり、今後の進捗状況に影響を及ぼす可能性がある。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も引き続き原基と栄養菌糸も含めた活性成分の分画をすすめる。当初の計画に従い、活性が確認された成分についてはGC-MS等も適宜併用してその詳細な構造決定を行うとともに、最小有効添加量を指標に活性強度を明らかにする。遺伝子解析を引き続き実施し、ヒラタケの子実体形成過程におけるその誘導物質の発現挙動を物質レベル・遺伝子レベルで徐々に明らかにしていく方向である。
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Causes of Carryover |
(理由)当該予算により年度末に参加予定していた学会がコロナの影響で開催中止になる等の事情により次年度使用額が生じた。
(使用計画)次年度使用額558,343円と次年度請求額1,500,000円を合わせた2,058,343円の使用計画は以下の通りである。成果発表を国内外の学会で行う予定であり、国内学の学会旅費(きのこ学会、木材学会、生物工学会等、農芸化学会、糖質学会等)に75万、参加登録費に15万、その他、消耗品等(試薬、ガラス、DNA分析等)に70万、人件費に30万(2人x3ヶ月)、研究成果投稿料と印刷費に15万円程を計上する。
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Research Products
(3 results)