2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K19243
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
澤内 大輔 北海道大学, 農学研究院, 講師 (90550450)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 康貴 北海道大学, 農学研究院, 教授 (90191452)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 農業環境政策 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球温暖化への対策や持続可能な資源管理など、近年、農山村においても環境・資源の保全に対するニーズが高まってきている。本研究では、我が国での権利取引等をを用いた農山村の環境・資源保全政策の実施可能性、すなわちこれまでの我が国の農業環境政策には見られない新たな政策デザインを検討することを目的とする。本研究は、これまで世界でも導入事例が限られている政策について我が国の農山村での導入可能性を検討している点、政策立案段階における客観的な情報(エビデンス)の提供に資する点、において、挑戦的研究としての意義、可能性を有していると考える。本年度は、先進事例としてニュージーランドでの酪農集約化に起因する水質悪化に焦点を当て、文献調査、実地調査などにより現状及び対策を明らかにした。具体的には、ニュージーランドでは、集約的な酪農の拡大に伴って河川、湖沼、地下水などの水質が悪化する傾向にある点、水質悪化によってレクレーション(海水浴、水遊びなど)、生物多様性保全などにすでに影響が出始めているとの点、などが示された。また、水質悪化による損失を経済評価する手法についての知見を入手できたほか、水質汚染の解消のために権利取引などの手法が用いられている事例があることなどが明らかとなった。実地調査においては、個別の自治体が水質改善に取り組むのではなく、河川流域にある自治体がが一体となって水質改善に取り組んでいる事例が確認された。そのほか、国内を対象とした分析のため、農業統計の個票を入手し、基礎的な解析を実施するなど、次年度の研究に向けた準備を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度の2018年度は、当初の研究計画に沿って、おおむね順調に進展している。国外の先進事例としてニュージーランドに焦点を当て、酪農に起因する水環境問題の現状及び対策を、文献調査及び実地調査に基づき取りまとめた。また、国内事例を対象とした分析のために、農業統計の個票を入手し、基礎的な解析を実施するなど、次年度の研究に向けた準備も進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年目の次年度は、我が国での農業に起因する環境問題の現状・対策の状況を取りまとめると同時に、環境問題解決における費用負担についての調査研究を実施する。具体的には、既存研究サーベイ、実地でのヒアリング調査、統計解析などをもとに、本研究課題に係る論点整理を行う。さらに論点整理を踏まえ、我が国における農業・農村における環境問題解決に資する政策オプションのメリット・デメリットなどについて取りまとめる。
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Research Products
(3 results)