2019 Fiscal Year Research-status Report
クラウド型音響識別法を用いる広域施設園芸用病害虫セキュリティプラットホームの創成
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18K19245
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
水谷 孝一 筑波大学, システム情報系, 教授 (50241790)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
海老原 格 筑波大学, システム情報系, 准教授 (80581602)
久保田 健嗣 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 中央農業研究センター, 上級研究員 (80414796)
石井 雅久 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 農村工学研究部門, ユニット長 (10343766)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | コナジラミ / バイオタイプ / 発生音 / 識別 / 植物保護 / 深層学習 / スマート農業 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、農学と音響工学との協働による新しいスマート施設園芸の出発点として園芸施設内の環境騒音(大きなレベル)を含むコナジラミ類の発生音(微小レベル)をモニタリングし、難防除病害虫の代表であるコナジラミ類が発生すると、農家によってそれが確認された後、本システムを用いて農家自身によりコナジラミ発生音を検知・識別して、種・バイオタイプ情報を他の農業従事者に提供可能な革新的な病害虫セキュリティプラットフォームの創成を目的としている。【2018年度は,プラットフォームの創成に必要なコア技術として、各種・バイオ対応のコナジラミ類の交信音を蓄積したデータベースを構築した。また、収録された音とデータベースを照合して、主・バイオタイプ識別を機械的に行うソフトウェアを作成した。】2019年度は、システムの実装を試みた。比較的大きな騒音環境下にある屋外や温室内等の環境下にあって、コナジラミ類の微小交信音を収集可能な収録系(ハードウエア)と本研究のコア技術であるデータベースと照合する識別機(ソフトウエア)とを統合する病害虫セキュリティプラットホームの基本形を構築するとともに、コナジラミ類の種・バイオタイプの組み合わせた実験対象を実験室内に再現し、検知・識別実験とチューニングの準備が完了した。更に、温室等の圃場において実証実験可能なハードウエアの開発研究及び、ハードウエアでカバーできない大きなレベルの環境騒音にも対応可能なソフトウエアの改修を試みた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、システムの実装として園芸施設内でコナジラミ類の交信音が収録可能なノイズレス交信音収録系と識別技術を統合した病害虫セキュリティプラットホームを概ね構築することができ、各地域のコナジラミ類の発生状況(種・バイオタイプの組み合わせ)を実験室内に再現し、検知・識別実験とチューニングの準備ができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である2020年度は、園芸施設での実証実験を試みる計画である。温室などの園芸施設にプラットホームを展開し、コナジラミ類のリアルタイム検知・識別を試みる。プラットホームを用いない園芸施設と対照実験を行い、発生検知と種・バイオタイプ識別に要する時間、および、それによる農作物被害,農薬散布量,農業従事者の労力を比較する計画である。新型コロナウイルス感染症の影響で、当該年度に入り3か月程計画が遅れているものの、年度末までには所定の成果をあげられるよう研究を推進するつもりである。
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Causes of Carryover |
2018年度は、プラットフォームの創成に必要なコア技術として,各種・バイオ対応のコナジラミ類の更新音を蓄積したデータベースの構築、および、収録された音とデータベースを照合し、主・バイオタイプ識別を機械的に行うソフトウェアを構築することができたため、当初の計画通りに進捗した。並行して2019年度に 実装する予定のハードウエアの購入も2018年度中に計画していたが、構築したソフトウエアの改良を施した後の2019年度に、当該ハードウエアの購入する方が、動作の確実性が高まると判断した。その後改めて検討し、園芸施設での実装実験を実施する2020年度に、実環境に合わせたハードウエア等を購入した方が最新のものを利用できると判断したことから、2年越しで次年度使用額が発生した。
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