2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K19248
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
澤田 豊 神戸大学, 農学研究科, 助教 (60631629)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 津波 / 洪水 / 堤防 / 侵食 / 軽量地盤材料 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,地盤侵食の制御を行うことにより,洪水や津波の被害を低減しようとするものであり,平成30年度には,各種地盤条件の違いが侵食の抑制あるいは促進に及ぼす影響を明らかにするため,小型アクリル水路を用いて,水理実験を実施した.具体的な成果を以下に示す. 本実験では,長さ2000mm,奥行き100mmの水路内に長さ500mmの地盤を自然乾燥状態で設置し,120L/分の循環流をポンプで発生させ,アクリル前面から地盤の形状変化をビデオ撮影した.平均粒径0.3mmの珪砂上で得られた流速分布から推定した底面での摩擦速度からシールズ数を算出した結果,本実験条件でのシールズ数は1.30であった.最初に平均粒径0.3mmの地盤を対象にその相対密度(相対密度20と90%)を変えた実験を行った結果,両密度条件で侵食後の地盤形状は概ね一致し,砂の相対密度が地盤侵食に与える影響は小さいことが明らかとなった.一方,平均粒径を0.1mmとした場合,粒径が小さくなるに従いシールズ数は増加し,侵食は促進されるものと思われたが,実験では地盤侵食はほとんど進展せず,予想に反する結果となった.この要因については明らかではないものの,平均粒径を0.1mm以下にすることは侵食抑制に効果的であることがわかった.さらに,地盤内の一部をEPS破砕片(比重約0.07)で置換した場合,実験開始後すぐに全てのEPS破砕片が流された.このことから軽量なリサイクル材料を用いることは侵食促進に極めて有効であることが明らかとなった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度の当初計画で掲げたEPS破砕片を用いた侵食実験を実施した.これにより軽量地盤材料により地盤の侵食を促進できることが明らかとなった.このことから,現在までの進捗状況としては,概ね順調に進んでいるといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度の実験から軽量材料を地盤材料として用いることで,当材料で置換した箇所の侵食を容易に促進できることが明らかとなった.実際には侵食を抑制する技術の方が減災や防災に役立つことが多い.本テーマ申請以降発生した2回の大きな豪雨(平成29年7月九州北部豪雨と平成30年7月豪雨)においても,多くのため池が堤体の侵食が原因で決壊に至り,甚大な被害が生じた.したがって,2019年度には土構造物の現実的な各種侵食対策について実験的に検討する予定である.具体的には,高さ200mの堤体模型を水路内に作製し,ポンプによる越流を行い,対策工の有無で堤体の侵食状況を比較することにより,対策工の侵食抑制効果について検証を行う.
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Causes of Carryover |
実験に用いる水路の幅を300mmから100mmに変更することができ,水路の費用が当初計画より抑えられた.また,水路幅の変更により,実験作業が省力化され,実験補助のため計画していた謝金が抑えられた.また,英語論文を2018年度内に投稿する予定としていたが,これを2019年度に変更したため,校閲費用が発生しなかった.未使用額については研究成果の発表および情報収集のための出張旅費として使用する予定である.
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Research Products
(2 results)