2018 Fiscal Year Research-status Report
Internet of Plants for Crop Production
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18K19250
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
北野 雅治 九州大学, 農学研究院, 教授 (30153109)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 農業環境・情報工学 / Internet of Plants / 植物環境系輸送プロセス / 動的作物モデル / AI |
Outline of Annual Research Achievements |
作物の収量と品質を決定づける植物-環境系の輸送プロセス(光合成,蒸散,転流,養水分吸収、体温、葉面対流等)の動態については、作物生産現場における連続・非破壊計測が不可能なために、それらの情報が農業者にとって可視化がなされておらず、日々の営農のために真に役立つ情報として機能するには至っていない。本研究では、この問題を解決するために、(課題 I)実際の作物生産現場での植物-環境系輸送プロセスの時空間変動の可視化と共有化および(課題Ⅱ)Internet of Plants (IoP) の実現とその機能化に取り組む。 初年度の2018年度においては、植物生産場において測定が比較的容易な環境要素(光、CO2、気温、湿度)の時空間変動の情報をインタネットで共有可能にするとともに、新たに葉面対流センサを開発し、生産施設内での光合成などの葉面輸送現象に影響する葉面境界層コンダクタンスも共有データ化した。これらの環境データを、多様な作物生理生態動的モデルを駆使して、作物生理生態情報(群落光合成、蒸散、体温)に変換しインタネット上で可視化、共有化することを可能にした。その際、植物個体群チャンバー等の新規の計測法とAIの機械学習を活用し、作物生理生態モデルの同定も可能にした。さらに、これらのシステムをイチゴ農家の6連棟ハウスおよび葉菜類水耕栽培中型ハウスに実装した。これにより、作物生理生態情報とAIが持つ学習機能(最適化、情報収集、パターン認識)を、作物生産現場で合理的に活用できる実験基盤が形成された。 これらの成果を、学術誌(印刷中)および国際学会、国内学会(一部招待講演)で発表した。さらに、Internet of Plantsの概念を施設園芸を対象に社会実装する内閣府のプロジェクトが高知県、高知大学の主働で開始された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、環境要素(光、CO2、気温、湿度)の時空間変動の情報をインタネットで共有可能にするとともに、新たに開発した葉面対流センサや植物個体群チャンバ―等を駆使して、生産施設内の作物生理生態情報(群落光合成、蒸散、体温)もインタネット上で可視化、共有化できるようにした。さらに、これらのシステムをイチゴ農家の6連棟ハウスおよび葉菜類水耕栽培中型ハウスに導入し、AIが持つ学習機能等を、作物生産現場で合理的に活用できる実験基盤が形成された。これらの成果を、学術誌(印刷中)および国際学会、国内学会(一部招待講演)で積極的に発表した。さらに、Internet of Plantsの概念を施設園芸を対象に社会実装する内閣府のプロジェクトが高知県、高知大学の主働で開始された。 以上のことから、おおむね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
IoPを介して収集した作物生産場の環境および作物生理生態の時空間変動の情報をAIに学習させ,成長予測、収穫(収量、収穫時期)予測さらにハウス内作物への環境調節(CO2施用,暖房,換気等)の最適化、さらに収量・収穫時期の調節を可能にするアルゴリズムを検討する。
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Causes of Carryover |
農家ハウスでの実験のために、当初予定していた謝金が農家の厚意により減額できた。また、大学構内の葉菜水耕栽培中型ハウスでも研究が可能になったため謝金が減額できた。現在査読審査中の国際誌の掲載料の支払いが、次年度に持ち越された。 次年度は、国際誌への掲載料、および国際学会への参加費に充当する予定である。
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Research Products
(6 results)