2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K19255
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
滝口 満喜 北海道大学, 獣医学研究院, 教授 (70261336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々木 東 北海道大学, 獣医学研究院, 助教 (00754532)
稲波 修 北海道大学, 獣医学研究院, 教授 (10193559)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 超音波の生体作用 / 神経突起の進展 |
Outline of Annual Research Achievements |
低強度パルス超音波を利用して中枢神経の治癒力を高め、脊髄損傷治療法を開発する第1段階として、中枢神経再生に最も重要である神経細胞の軸索伸展を低強度パルス超音波で制御するための検討をin vitroで行なった。 脊髄損傷が難しい理由の1つには、ミエリン由来やグリア瘢痕由来因子による神経軸索再生阻害が知られている。そこで、本年度はミエリン由来軸索再生阻害因子としてもっともよく知られている、Nogo-Aを神経細胞に作用させ、その後に低強度パルス超音波を照射して、その影響を観察した。 その結果、1回の低強度パルス超音波照射によって神経細胞当たりの神経突起の総和が優位に長くなった。また、Nogo-Aによって萎縮した神経細胞が、1回の低強度パルス超音波照射により大きくなる傾向が認められた。これらの結果は低強度パルス超音波が神経軸索再生阻害因子の効果を減弱させ、神経細胞を賦活しうること、また神経突起を再伸展させる作用があることを示している。 本年度の研究成果により、低強度パルス超音波は神経軸索再生阻害因子存在下でも神経再生に寄与する可能性が示され、今後の展開が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では、軸索再生阻害因子を作用させていない神経細胞において、低強度パルス超音波の影響を検討する予定だった。しかし、脊髄損傷への応用を考えた場合には、軸索再生因子存在下で低強度パルス超音波が効果を示すことが重要である。そこで、計画を変更し、軸索阻害因子作用後の神経細胞への超音波照射を行うこととした。これにより、軸索再生阻害因子の実験条件の検討が必要になった。
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Strategy for Future Research Activity |
今回の実験条件では、低強度パルス超音波にはミエリン由来軸索再生阻害因子であるNogo-Aの効果を減弱させ、既にある神経突起を進展させる効果があると示された。一方で、Nogo-A作用下の神経細胞から新たな神経突起を発芽させる効果は確認できなかった。Nogo-Aの作用機序はRho/ROCK経路とされており、低強度パルス超音波はRho/ROCK経路に拮抗するようなシグナル系を活性させた可能性が示唆される。今後はメカニズムの解明、超音波条件の最適化を行う予定である。
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