2019 Fiscal Year Research-status Report
視点移動可能な映像教材を用いた臨場感のある獣医臨床教育手技教育教材の開発
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18K19256
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Research Institution | Azabu University |
Principal Investigator |
高木 哲 麻布大学, 獣医学部, 准教授 (50396305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 良治 愛知淑徳大学, 創造表現学部, 准教授 (40515102)
森下 啓太郎 北海道大学, 獣医学研究院, 助教 (30637046)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 映像教材 / 獣医 / 臨床手技 / 教育 / 視点移動 / VR |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はまず映像をいくつかの取り組みごとに分類してそれぞれのアプローチから視点移動教材作成の可能性についての検証を始めた。これらは ①VR映像 ②ハイビジョン内視鏡映像 ③8K映像 ④2D/3Dアニメーション に分類した。、 ①VR教材については市販の360度カメラを用いて気管挿管の処置を撮影した。この際、複数の人物の動きが同時に進行することにより、それぞれの担当がいつどのような動きをしているか、視点を移動することで確認することができるようになった。 ②ハイビジョン内視鏡映像については特に口腔や膣内などの通常映像では観察しがたい映像も得ることができた。しかし、教育的にはこれまでの教材と比較すると劇的に貢献度が大きかったものの、任意の視点移動はもちろんできず、厳格に判断すれば内視鏡で得られる一般的な画像以上の情報はなかった。今後非生体モデル等を併用した場合に学生が自分で操作することで教育効果が高められる可能性は示唆された。③8K映像については当初非常に繊細で画角が大きいために大きく拡大するすることができるということで去勢手術を撮影してみたが、カメラ自体は定点であるのでそこからの視野は移動できないことは弱点であったが、何より8K映像を再生できるデバイスが広く普及していないため、この教材は現時点では汎用には向かないと判断した。ただし、今回撮影されたのは獣医学領域の手術として世界で初めての8K映像で撮影されたものとなる。④3Dアニメーションは全ての物体の空間上の点の位置を完全に正確に規定する必要があるため作成には非常に時間がかかるが、これに対して架空のカメラを全方位から動かすことができるため、とくに皮膚の下や口の中などの手技については非常に有用性の高い教材と判断された。しかし、任意の視点移動には簡単に操作をできるソフトが必要だと考えらえた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
視点移動と教育上の有用性を両立できる教材作成が難航することが予想されたが、様々なタイプの撮影機材を実際に臨床手技を撮影しながら評価することで、VRについては至適な撮影機材、アプリ、再生デバイスを整えることができた。本VR映像教材では他の映像教材にはない臨場感が当初予定していたよりも理想的に再現され、まさにその場にいるような没入感を得ることができた。また、この教材の利用によって何度もデモンストレーションを行う必要がなくなったこと、使用する動物の数を大幅に削減することができることなどの当初予定以上の主観的成果が得られたため。 3Dアニメーションの制作については非常に多くのの時間を要するが、一度完全なものが完成すれば、その後どのような視点からでも皮膚の下での操作などを直感的に理解させやすくできるのでこれも大きな成果と思われた。
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Strategy for Future Research Activity |
現在3D/2Dアニメーションを用いた視点移動教材はほぼ完成しているのでこれを実写版の映像とリンクさせ、他の臨床獣医師から指摘された改善事項を反映させつつ実習用視聴用の映像教材を完成させる。これらの映像はオンラインストリーミングサーバーを用いて配信する予定である。360度カメラを用いたVR映像は去勢・避妊手術等の現場にいる視点での教材を追加して作成していく予定である。 今年度は今回作成したこの教材の有用性を評価する重要な年度である。すなわち、以前の視点移動がない教材で教育した学生が実施した気管挿管の成功率のデータを用いて、今回作成した視点移動教材(VRを含む)で予備的シミュレーションを行った学生のデータと比較し、この教材の有用性を客観的なデータから立証する。 ただし、この予定であったが、新型コロナウイスル感染拡大により本学では現時点では前期の授業実習がほぼすべてできないことになり、後期になって授業が再開されないとデータ評価発表ができなくなることを危惧している。ウイスルの感染状況が1年以上続く可能性も指摘されているため、研究機関内に評価と報告ができない可能性はあるが、その後実習が再開され次第データ収集とまとめを行う予定である。
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Causes of Carryover |
本研究においてVR教材の作成は当初予定に組み込まれていたが、その開発に時間を要したため、最終的な機器の使用を先送りにしていたため。また、視点移動可能な教材のプロトタイプは完成したが、その評価のためには実習において実際に使用する必要があり、これらのデータを合わせる事でもってより十自失した研究内容とするために追加で機材を購入する必要がある。
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