2019 Fiscal Year Research-status Report
The influence of cervine piroplasma on the onset of bovine piroplasmosis
Project/Area Number |
18K19257
|
Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
横山 直明 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 教授 (80301802)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
|
Keywords | シカ小型ピロプラズマ / 牛小型ピロプラズマ / 制御法 / 貧血 / マダニ / シカ / 牛 / 放牧 |
Outline of Annual Research Achievements |
我が国の畜産業に多大な経済的被害を与えている放牧病に、牛小型ピロプラズマ病がある。本疾病は、赤血球内に寄生する牛小型ピロプラズマ原虫がマダニの吸血を介して牛に伝播され、しばしば牧野で集団発生する。感染を受けた牛は消耗性の発熱と悪性貧血を呈し、確実に増体率の低下を招く。本疾病は日本全土に発生しているが、現在治療薬も予防用ワクチンもないことから畜産業を大いに悩ませている。一方、我々は「野生のシカが保有するシカ小型ピロプラズマが、牧野内の牛小型ピロプラズマ病の発生を劇的に干渉している」可能性を独自の研究シーズとして見いだしてきた。そこで、日本で起こっているこの可能性を科学的に取りまとめ、“シカ小型ピロプラズマを活用した牛小型ピロプラズマ病に対する新たな制御法”を考案することを目的とした。
平成31年度では、シカ小型ピロプラズマによる感染を特異的に遺伝子検出できる新たなLAMP診断法を開発した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
シカ小型ピロプラズマによる感染を特異的に遺伝子検出できる新たなLAMP診断法を開発できたことから、おおむね順調に進展していると判断する。
|
Strategy for Future Research Activity |
繰越の申請を行った次年度では、1)牛においてシカタイレリア感染の免疫応答を測定できる血清診断法を確立する。そして、2)確立した血清診断法を用いて、放牧牛のシカタイレリアの抗体保有状況を調査し、その感染歴が後の牛小型ピロプラズマ病の発病に与える影響を疫学的に解明する。また、3)シカ小型ピロプラズマを活用した牛小型ピロプラズマ病に対する新たな制御法を考案する。
|
Causes of Carryover |
本年度に実施したシカ小型ピロプラズマ感染の血清診断法の確立の試みでは、大腸菌ベクターによるその診断用候補組換え抗原の発現効率が不十分であった。そのため、感度が高い診断法を確立するには、より親水性の高い組換え抗原の大量発現に向けたシステムの再構築が必要となった。そこで、新たな組換え抗原の発現解析に必要となる使用額として次年度に2,001,551円を繰り越した。次年度では、物品費(1,201,551円)、旅費(200,000円)、人件費(600,000円)の内訳を計画している。
|
Research Products
(10 results)