2019 Fiscal Year Research-status Report
Generation and analysis of disease model mice with multiple phenotypes caused by disorder in RNA metabolism.
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18K19265
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
角田 茂 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 准教授 (80345032)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小川 哲弘 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 助教 (40323480)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | リボヌクレアーゼ / 疾患モデル / 免疫異常 |
Outline of Annual Research Achievements |
RNase T2は一本鎖RNAを非特異的に分解するエンドリボヌクレアーゼである。原核生物から真核生物、更にはウイルスにも存在することから、生物学的に普遍的かつ根源的な役割を担うと考えられるが、哺乳動物での機能に関する報告はあまり多くない。そのような中、ヒトにおいては、RNase T2は当初がん抑制因子として同定されたが、その後、「先天性嚢胞性白質脳症」(神経変性疾患)の患者にRNASET2遺伝子の欠損が報告された。さらに最近、複数のゲノムワイド関連解析の報告から、RNASET2遺伝子座の一塩基多型が様々な疾患に関連することが示唆されている。 そこで申請者は、このうち特に遺伝子欠損に依存すると考えられる神経変性疾患の発症機構を明らかにするために、RNase T2遺伝子欠損マウスを作出した。しかし、神経変性疾患は認められず、代わりに肝脾腫をはじめとする免疫異常を自然発症することがわかった。すなわち、遺伝子欠損マウスの表現型は予想に反してヒト患者の表現型とは異なっており、単純には「外挿」できないことが明らかになった。そのため、RNase T2の自然免疫系への関わり、この異常による自然免疫系の破綻・多様な疾患誘導の全容解明を目指し、現在、①RNA代謝異常が関わる多様な疾患の発症に共通する分子機構の解析、②ヒトRNA代謝疾患研究に外挿できる疾患モデルマウス樹立、の2つを研究課題と設定して研究を進めている。 その中で本年度は、マウスの遺伝的背景による表現型の変化を確認するため、樹立時のC57BL/6NからBALB/c系統への戻し交配を進め、完了したところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RNase T2機能異常に起因する多様な疾患の発症に共通する下流の候補遺伝子ついて、二重欠損マウスを樹立し、解析を進めている。また、マウスの遺伝的背景による表現型の変化を確認するため、BALB/c系統への戻し交配を行い完了した。一方、候補遺伝子のヒト型化については残念ながら成功していない。 また、普遍的リボヌクレアーゼとして生物種間で高度に保存されていることから、出芽酵母を用いた実験を並行して行っているが、哺乳動物での分子機構解明につながる成果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
RNA代謝異常が関わる多様な疾患の発症に共通する分子機構の解析は概ね順調に進んでいることから、今後はヒトRNA代謝疾患研究に外挿できるか、新規に樹立したBALB/cコンジェニック系統の解析を進める予定である。
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Causes of Carryover |
分子生物学的解析部分において、研究を担当する大学院生が変更になったことから一部遅れが生じており、次年度に持ち越しとした。
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