2020 Fiscal Year Research-status Report
Pathology of spontaneous breast tumor in tree shrews (Tupaia belangeri chinenesis)
Project/Area Number |
18K19277
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
小原 道法 公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, 特任研究員 (10250218)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2022-03-31
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Keywords | ツパイ / 乳がん |
Outline of Annual Research Achievements |
乳がんは我が国でも発生数が多く、その制御が急務となっている。これまで良い動物モデルがなく、その研究に限界があった。乳がんモデルとして、従来齧歯類動物が使われているが、乳腺の生物学的特性や、乳がんの発病プロセスなどが人の乳がんと多くの違いがあるため、乳がん研究での応用には限界がある。サルは薬物治療評価に理想的な実験動物であるが、自然発がんモデルが無く、飼育コストも高い。ツパイはツパイ目ツパイ科に属す、体重が約150グラムの小型哺乳動物で、近年まで原猿類に分類されていた。また、ツパイは人に近い遺伝情報を持っており、ヒトとチンパンジーにしか感染しないB型肝炎ウイルスの感染受容体がツパイの肝細胞から同定されている。ツパイの乳腺腫瘍は、ヒトの乳頭腺がんに近い構造を持つため、本研究で確立を目指すツパイ乳がん階層、時系列モデルとして、乳がん発症の優れたモデルとなる事が期待された。ツパイを用いて自然発症乳腺腫瘍の病理組織学的検索を行い、その結果乳腺腫瘍は乳腺管状乳頭状がんが多く観察され、腫瘍の形態および病理はヒトの乳頭腺がんに非常に近い事が明らかとなった。また細胞診の結果、上皮系悪性腫瘍である事が確認された。これらの結果を論文投稿し採択された(PLoS One 2020 May 18;15(5):e0233232. doi: 10.1371/journal.pone.0233232. eCollection 2020)。得られた新たな知見を元に、早期診断、予防、治療法開発の可能性を探る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
計画に従って進行している。自然発症乳腺腫瘍について解析を進め、これらの結果について論文投稿を行い採択された。 Chi Hai-Ying, Yuuki Tanaka, Tatsuro Hifumi, Ko-ichiro Shoji, Mohammad Enamu Hoque Kayesh, Md Abul Hashem, Bouchra Kitab, Takahiro Sanada, Tomoko Fujiyuki, Misako Yoneda, Hitoshi Hatai, Akira Yabuki, Noriaki Miyoshi, Chieko Kai, Michinori Kohara, Kyoko Tsukiyama-Kohara. Pathological and genetic aspects of spontaneous mammary gland tumor in Tupaia belangeri (Tree shrew). PLoS One 2020 May 18;15(5):e0233232. doi: 10.1371/journal.pone.0233232. eCollection 2020 一方で、ツパイ腫瘍の遺伝子発現解析による更なる解析を進めているが実験系の構築に時間が必要であった。解析系が構築できたので来年度に向けて研究を進める。
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Strategy for Future Research Activity |
ツパイ乳がん階層化、時系列解析モデルを用いた診断、予防、治療法開発に向けて研究を進める。乳がんの治療法としては、腫瘍免疫の活性化、腫瘍の細胞表面マーカーを標的にしたアクティブターゲッティングDDSあるいは作成を進めているOncolytic virus治療法等を適用し、ツパイ乳がんモデルでの有効性を解析する。ツパイ乳がんモデルを継時的に解析して階層間で得られた情報に基づいて、特にmicroRNAやエキソソーム等の様に血漿を調べる事によって、乳がんの発症を極めて早期に発見できる様な診断法及び予防法の開発に繋げる。
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Causes of Carryover |
ツパイは自然発症乳腺腫瘍モデルとして有用である可能性が示され、さらにこれらツパイ腫瘍の遺伝子発現解析による更なる解析を進めているが実験系の構築に時間が必要であった。解析系が構築できたので来年度に向けて研究を進める。
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Research Products
(1 results)
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[Journal Article] Pathological and genetic aspects of spontaneous mammary gland tumor in Tupaia belangeri (Tree shrew)2020
Author(s)
Chi Hai-Ying, Yuuki Tanaka, Tatsuro Hifumi, Ko-ichiro Shoji, Mohammad Enamu Hoque Kayesh, Md Abul Hashem, Bouchra Kitab, Takahiro Sanada, Tomoko Fujiyuki, Misako Yoneda, Hitoshi Hatai, Akira Yabuki, Noriaki Miyoshi, Chieko Kai, Michinori Kohara, Kyoko Tsukiyama-Kohara
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Journal Title
PLoS One
Volume: 15(5)
Pages: e0233232
DOI
Peer Reviewed / Open Access