2018 Fiscal Year Research-status Report
特異的タンパク質分解を利用した幹細胞の効率的分化誘導プラットフォームの確立
Project/Area Number |
18K19282
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清水 康平 東北大学, 歯学研究科, 助教 (70727073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
犬塚 博之 東北大学, 歯学研究科, 准教授 (20335863)
福本 敏 東北大学, 歯学研究科, 教授 (30264253)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 幹細胞 / タンパク質分解 / 分化誘導 |
Outline of Annual Research Achievements |
幹細胞を用いた再生医療技術の臨床応用が推進される中、依然として高効率で精度の高い分化誘導法の確立が求められている。本研究では、幹細胞の高効率な分化誘導法確立のための新たなプラットフォームの構築を目的とし、これまでに確立されてきた細胞分化誘導系にユビキチン化酵素の基質特異性を制御するリガンド化合物の利用を組み合わせ、ユビキチン-プロテアソーム系によるネオ基質の特異的タンパク質分解を薬理作用として想定した細胞分化の新たな表現型スクリーニングを確立することを目指して検討を進めてきた。特に本研究では、タンパク質分解のメディエーターとしてユビキチン化酵素CRBNに着目し、表現型スクリーニングの条件検討を行うため、CRBNのリガンド化合物として報告されているサリドマイドなどのIMiDsを含むグルタルイミド基を有するリガンド候補化合物を選定した。まず、骨芽細胞分化をモデルとし、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞であるUE7T-13細胞を用いて選定した化合物の細胞毒性を評価し、適正な化合物濃度の範囲を設定した。その後、それらの化合物がUE7T-13細胞の骨芽細胞分化に与える影響をアルカリフォスファターゼ染色により評価した。各化合物の処理により分化誘導状態の様々なバリエーションが確認でき、表現型スクリーニングの適正な条件を設定することができたと考えられる。また、表現型スクリーニングに先立ち、骨芽細胞分化の制御に関与するネオ基質を同定するためのタグ化CRBN安定発現細胞を樹立することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
選定した化合物を用いて表現型スクリーニングのパイロット実験が終了した。さらに、ネオ基質の同定とその機能解析に必要な細胞株の樹立まで概ね順調に準備を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
化合物の数を拡大して表現型スクリーニングを実施することにより細胞分化の制御を可能とする候補化合物を確保する。特に本研究においては、骨芽細胞分化を促進するより有望な化合物を選抜するが、顕著な効果が得られない場合は、他の分化誘導系も含め検討する。選抜された化合物に関しては、化合物依存的にCRBNに捕捉される標的タンパク質を質量分析により同定し、ユビキチン-プロテアソーム分解系のネオ基質であるか分子細胞生物学的解析により検証する。同定されたネオ基質に関して細胞分化における機能解析を進め、化合物による細胞分化制御の機構について明らかにする。
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Causes of Carryover |
初年度は試験的スクリーニングに使用する化合物を選定することで物品費を抑えた。次年度は使用化合物の拡大を予定しており、差額分を物品費及び同定基質の機能解析費に当てることを計画している。
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