2019 Fiscal Year Research-status Report
CRISPR-Cas9の改変によるゲノム編集技術の効率化
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18K19284
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
西増 弘志 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (00467044)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | CRISPR |
Outline of Annual Research Achievements |
CRISPR-Cas獲得免疫機構に関与するRNA依存性DNAヌクレアーゼCas9はガイドRNAと複合体を形成し標的DNAを切断するため、ゲノム編集ツールとして広く利用されている。現在ゲノム編集に利用されているS. pyogenes由来Cas9(SpCas9)はNGGをPAMとして認識する一方、B. laterosporus由来Cas9(BlCas9)はNNNNCという配列をPAMとして認識するため新規のゲノム編集ツールとして期待されている。本年度は、BlCas9の構造機能解析を推進した。BlCas9、ガイドRNA、標的DNAを混合することによりBlCas9-ガイドRNA-標的DNA複合体を再構成し、ゲルろ過カラムを用いて精製した。精製した複合体を結晶化し、その結晶構造を決定した。結晶構造から、BlCas9は既知のCas9と異なり、PAM-interactingドメインのAsp残基とLys残基を用いてPAM二本鎖のC-G塩基対を特異的に認識していることが明らかになった。さらに、構造情報を基に複数のBlCas9変異体を作製し、in vitroにおけるDNA切断実験を行い、PAMに対する特異性の異なるBlCas9変異体を同定することに成功した。また、BlCas9に加えて、NNRHHHYという配列をPAMとして認識するC. diphtheriae由来Cas9(CdCas9)の結晶構造を決定し、CdCas9は他のCas9と異なり、水素結合と疎水性相互作用を介してNNRHHHYを認識していることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2種類のCas9の結晶構造を決定し、ユニークなPAM認識機構を明らかにできたため。
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Strategy for Future Research Activity |
BlCas9の培養細胞におけるゲノム編集活性を測定する。
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Causes of Carryover |
変異体解析の結果、目的とするゲノム編集ツールの開発のためには、当初想定していたよりも多くの変異体を作製し活性を評価する必要が生じたため。今後は、BlCas9の培養細胞におけるゲノム編集活性を測定を進める。
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