2018 Fiscal Year Research-status Report
エピジェネティックな発現制御による新規放射線耐性獲得メカニズムの解明
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18K19290
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
沖 昌也 福井大学, 学術研究院工学系部門, 教授 (60420626)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / 放射線耐性 / 出芽酵母 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、出芽酵母において、SIR3, SIR4の欠損により、X 線耐性になることを見出した。この欠損により獲得したX 線耐性能は非常に強く、既知の DNA 修復機構では説明出来ないレベルであった。そこで、本研究において、上記 X 線耐性を獲得した際の、原因遺伝子の同定と、耐性獲得メカニズムの分子レベルでの解明を目指した。X 線照射時に野生株と比較してsir2-del株では生存率に変化はなく、sir3-del、または sir4-del株では高い耐性を示した。そこで、発現量の変動した遺伝子をピックアップするために、野生株、sir2-del株、sir3-del株、sir4-del株において X 線照射前と X 線を 100Gy 照射した際の発現量の変化を、マイクロアレイ法を用いて解析した。得られた結果をもとに、候補遺伝子を絞り込んだ。同定した遺伝子に関して、RT-PCR を行い、リアルタイム PCR を用いマイクロアレイの結果と一致するか発現量変化を正確に定量した。次に、Flag-tag を融合したタンパク質を作る酵母株を作製し、抗 Flag 抗体を用いたウエスタンブロッティング法により、sir3-del株、sir4-del株におけるタンパク質量の変化を定量した。また、抗 Sir3 抗体を用いた ChIP on chip 解析により染色体上における Sir3 新規存在量領域を同定し、上記で絞り込んだ遺伝子の中で、Sir3 タンパク質存在領域の内部あるいは近傍に存在する遺伝子を絞り込んだ。さらに、我々は DNA 損傷修復機構ではない新たな X 線耐性獲得機構が存在すると考えているため、絞り込んだ遺伝子のうち、既知の修復遺伝子を排除した。また、分離した候補遺伝子群の中で、既に報告されている機能に注目し相関関係があるか独自に作成したソフトを用い様々な視点から解析し、機能的に分類した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記載したように、当初の研究通り、研究が進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画通り、最初に絞り込んだ候補遺伝子の破壊株を作製し、X 線照射後の生存率を測定する。また、sir3-del株、sir4-del株との2重破壊株も作製し、同様に X 線照射後の生存率を測定する。本解析により、X 線耐性獲得に直接的に関わる遺伝子と、間接的に関わる遺伝子が分離できる。また、過剰発現株を作製し、X 線照射後の生存率を測定する。SIR3 及び SIR4 存在下で、過剰発現によりX 線耐性を獲得していれば、その遺伝子が X 線耐性獲得の原因遺伝子である。また、2015年に、出芽酵母において薬剤により膜タンパク質を処理するとX線照射後の生存率が変化することが報告された(Cao G et al.,(2015)J.Rad.Res)。我々の絞り込みで膜タンパク質に関わる因子が分離されれば、膜構造とX 線耐性獲得の関係に関して優先的に解析を進める。
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Causes of Carryover |
当初購入を予定していた物が予定より安く購入できたため、35662円の残高が出たが、次年度に培地、酵素等を購入することにより使用予定である。
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Research Products
(5 results)