2019 Fiscal Year Research-status Report
The length of the polyadenylation tails of human mitochondrial transcripts alters their stability
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18K19303
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
松島 雄一 九州大学, 医学研究院, 助教 (20571342)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
真核生物の核DNAにコードされたmRNAでは成熟化に伴いポリ(A)鎖が付加されるが、このポリ(A)鎖はmRNAの安定化に寄与する。一方、原核生物ではmRNAの分解時にポリ(A)鎖が一時的に付加されるが、この時にはポリ(A)鎖は分解促進に寄与する。ヒトのミトコンドリアDNAには11のmRNA(mt-mRNA)がコードされているが,このmt-mRNAにも成熟化に伴いポリ(A)鎖が付加される。本研究の目的は、このmt-mRNAに付加されるポリ(A)鎖の機能解析を行うとともに、ミトコンドリアmt-mRNAのポリ(A)鎖の短縮/延長に伴う安定性変化の機構を明らかにすることである。 本年度はミトコンドリアポリ(A)ポリメラーゼを過剰発現させた細胞及び、枯渇させた細胞を用いて解析を行った。得られた実績を以下に示す。 ①ポリ(A)鎖の短縮に伴うmt-mRNAやミトコンドリアDNAにコードされている他のRNAの安定性変化の精査のため、ミトコンドリアのポリ(A)鎖付加酵素(ミトコンドリアポリ(A)ポリメラーゼ)をsiRNA法により枯渇させた。通常は平均40-70塩基ほどのポリ(A)鎖が、枯渇させた細胞では10塩基以下に短縮されていることを確認した。 ②枯渇させた細胞を用いて、全てのmt-mRNAの安定性について解析を行ったところ、一部のmt-mRNAは安定性が増加し、また一部のmt-mRNAは安定性が減少、そして残りのmt-mRNAはその安定性が変化しないことを確認した。さらに、全てのmt-tRNA及びmt-rRNAついても解析した結果、これらの安定性には大きな影響は確認されなかった。以上のことから、ミトコンドリアのポリ(A)鎖の短縮は、特定のmt-mRNAに対してのみ安定化と不安定化という相反する機能を持つことが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り解析を進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、ミトコンドリアポリ(A)ポリメラーゼを過剰発現させた細胞及からRNAを抽出し各mt-mRNA、mt-rRNA、mt-tRNAの量的変化をノーザン法やRT-qPCRなどを用いて解析を行う予定である。
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Causes of Carryover |
他のプロジェクトによって進められていた研究が、本研究の基盤となる実験材料の樹立に適用できることが判明したため。
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