2018 Fiscal Year Research-status Report
Analysis of non-coding RNAs involving sex determinaton in bird
Project/Area Number |
18K19317
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
黒岩 麻里 北海道大学, 理学研究院, 教授 (20372261)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水島 秀成 北海道大学, 理学研究院, 助教 (20515382)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
|
Keywords | ウズラ / Z染色体 |
Outline of Annual Research Achievements |
鳥類は一般的に、性染色体の構成がZZ型でオス、ZW型でメスとなる。したがって、鳥類は遺伝的に性が決定されるが、その性決定遺伝子については未解明な点が多い。Z染色体上に存在する雄性(精巣)決定遺伝子については、有力な候補遺伝子がすでに報告されている。一方で、古くからW染色体上にも雌性(卵巣)決定遺伝子があると考えられているが、未だ同定にいたっていない。その理由として、研究代表者は、雌性を決定しているのはタンパク質をコードした遺伝子ではなく、W染色体上のnon-coding RNA (ncRNA) が性決定に関与しているからではないかと着想した。そこで本研究は、鳥類の性決定メカニズムを明らかにすることを目的として、性決定に働くW染色体上のncRNAを同定し、CRISPR/Cas9を用いたゲノム編集を行い、ノックアウトによる機能消失およびレトロウィウスベクターを用いたノックインによる機能付与を行い、同定されたncRNAの機能解明を目指す。鳥類の性決定メカニズムを明らかにすることは、基礎生物学分野に重要な知見を与えるのみならず、家禽産業にも直結する重要な応用研究へとつながるものであり、その分子メカニズムを解明することは、当該分野の命題である。しかし、ニワトリの遺伝子導入やゲノム編集実験は長い時間を要し、解析が極めて困難である。そこで、これらの難題を克服すべく、繁殖周期の短いニホンウズラを用いた研究を計画し、鳥類では困難とされている機能解析を実現する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
ウズラの性決定時期を特定するために、7種類の性分化関連遺伝子 (DMRT1, SOX9, AMH, HEMGN, FOXL2, CYP19A1, NR5A1) の発現様式を、5つの発生ステージ (HH27, 29, 31, 34, 38) における雌雄の生殖腺を用いて、RT-PCRおよび生殖腺切片を用いたin situ ハイブリダイゼーションを行った。その結果、各遺伝子の発現様式を確認するとともに、性決定時期はHH26以前であることを推定した。この結果をもとに、性決定直後のHH26-28胚と、性分化が進行したHH30-32胚の生殖腺を雌雄ごとにサンプリングし、RNAを抽出してHi-seq3000によりRNA-seq解析を行った。得られた転写産物のうち、ZW型のメスのみで発現しており、さらに性決定直後のHH-26-28胚に転写量が多いものを、情報解析により選定した。その結果、74種類の転写産物を得た。このうち、タンパク質をコードした遺伝子を24種類、ncRNAを8種類確認した。さらに、このうち少なくとも4種類のncRNA配列はW染色体上に存在することを確認した。
|
Strategy for Future Research Activity |
RNA-seq解析により選定された74種類の転写産物すべてについて、タンパク質をコードした遺伝子であるのか、あるいはncRNAであるのかを確認する。ncRNAであると予想されたものについては、染色体上の位置とその配列を決定する。さらに、定量的PCRにより性決定時期およびそれ以降の発生ステージでの発現様式を確認し、in situハイブリダイゼーションにより、生殖腺おける発現の局在を確認する。以上の実験から、性決定に関与する可能性が得られた転写産物については、CRISPR/Cas9を用いたゲノム編集実験を行い、ノックアウトウズラを作製し、その表現型を解析する。
|
Causes of Carryover |
2018年9月に起きた北海道胆振東部地震により、研究代表者の研究室ではおよそ3日間の停電が続き、実験に使用する予定であった凍結組織サンプルおよびRNA等のほとんどが失われてしまった。そのため、サンプリングをやり直すこととなり、実験計画に遅れが生じたため、次年度使用額が生じた。
|