2018 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of a network between brain and testis
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18K19322
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上阪 直史 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (70597624)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 精巣 / 脳 / カルシウム / in vivo / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
生殖細胞は生物の遺伝情報を次世代へ伝える細胞であり、進化に関わる細胞である。生殖細胞である精子形成に関して、従来、脳の下垂体から放出されるホルモンが精巣にあるセルトリ細胞やライディッヒ細胞を介して精子形成を促進・抑制することが知られているが、その詳細やメカニズムに関しては不明な点が多い。その主な理由は、脳活動を操作したときの精巣細胞の活動や精子形成は調べられていないからである。本研究では、光遺伝学など細胞活動操作技術を応用し、脳活動を操作したときの精巣細胞の活動をリアルタイムで観察・操作できるin vivo実験系を開発する。本年度は1. In vivoで精巣細胞の活動を検出できるイメージング法の開発 2. 脳が精巣細胞の活動を制御するメカニズムの解明 を行った。1. 精巣細胞のin vivoイメージング法の確立: マウス精巣においてin vivoカルシウムイメージング法を新規に開発し、in vivoで細胞内カルシウムの変化を1細胞レベルかつリアルタイムでイメージングすることが可能となった。精巣内にカルシウム指示薬を導入したマウスあるいは精巣細胞でカルシウム指示タンパクが発現するマウスを用い、共焦点顕微鏡下でカルシウム指示薬・タンパクの蛍光強度変化を観察した。その結果、精巣内の様々な細胞種でカルシウム活動が観察された。2. 脳が精巣細胞の活動を制御するメカニズムの解明: 精巣急性スライスに脳由来のホルモンを投与したときの精巣のカルシウム活動をカルシウムイメージングで解析した。その結果、ホルモンを投与したときに精巣細胞のカルシウム活動が上昇することを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度に、In vivoで精巣細胞の活動を検出できるイメージング法の開発と脳が精巣細胞の活動を制御するメカニズムの解明を行った。どちらも結果がでており、平成31年度にさらなる発展が期待できることから、おおむね順調に進展していると考えた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、脳と精巣の連関を調べるために、以下のことを進めている。1. In vivoで精巣細胞の活動を検出できるイメージング法の開発。 2. 脳が精巣細胞の活動や性質を制御するメカニズムの解 明。 3. 精巣細胞の活動が精子形成に果たす役割の解明。1と2は平成30年度に推進できたので、平成31年度は引き続き実験を行う。特に、in vivoで脳や精巣を遺伝子操作した時に精巣細胞の活動が影響されるかを調べる。3に関しては、精巣細胞の活動を抑制した時の精子形成を解析する。
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Causes of Carryover |
用いる試薬の試行錯誤が必要かと思われたが、最初に試した試薬がうまくいったため、試行錯誤に必要と思われた物品費が今年度は必要なくなった。次年度に当該年度の研究費を物品費に使用することで次年度の研究を大きく推進できると考えた。
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