2020 Fiscal Year Annual Research Report
Improving the production efficiency of mammalian haploid cells by controlling nuclear DNA density
Project/Area Number |
18K19325
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大杉 美穂 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (00332586)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 一倍体細胞 / ハプロイド / マウス胚 / 雄性発生胚 |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒトを含む哺乳動物はゲノムを2組もつ二倍体生物であるが、卵の単為発生胚を利用したマウスやヒトの一倍体ES細胞の樹立と研究における有用性が相次ぎ報告されている。しかし一倍体単為発生胚の胚盤胞到達率は低く、さらに樹立直後のES細胞は多くが二倍体化しており、少数の一倍体細胞をソーティングする必要がある。すなわち「樹立効率の低さ」という問題が残されている。本研究は、問題点の根幹が、従来法により作出された一倍体単為発生胚がもつ「核内DNA密度が通常胚の半分しかない」という細胞生物 学的特徴にあるとの仮説をたて、第二極体の放出ではなく均等分割を引き起こすことにより、正常なDNA密度の核をもつ2細胞期様の一倍体単為発生胚(以下2cell一倍体胚)を得て、一倍体細胞のみからなる胚盤胞発生法の確立とそこからの一倍体ES細胞の樹立を目指した。 計画していたサイトカラシンBを用いた手法ではICR以外の系統では効率的な等割分裂誘導はできなかった。しかし、他のアクチン関連阻害剤を用いる方法により、複数系統のマウス卵に高効率で等割分裂を誘導する条件を見出した。 得られた2cell一倍体胚は約7割の胚盤胞到達率を示したが、2cell一倍体胚から発生した胚盤胞にも一部の割球に二倍体化が確認され、当初の目的は達成できなかった。しかし、正常なDNA密度のをもつこと、あるいはゲノムDNAの量と細胞質の量とのバランスがマウスの正常な初期卵割に重要であるという新規知見を得た。 さらに、等割分裂を誘導する条件検討の過程で、低濃度のノコダゾール存在下での単為発生誘導により卵染色体がすべて第二極体へと放出される現象を見出し、これを応用することで簡便に雄性発生胚を作出する方法の確立に成功した。
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