2019 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of the thermotolerant mechanism of silver ants for metabolic homeostasis
Project/Area Number |
18K19326
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小幡 史明 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 講師 (40748539)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
|
Keywords | Cataglyphis / Camponotus / Formica / Drosophila / 熱耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
Cataglyphisは、高温に対する高い耐性をもつ砂漠アリである。砂漠アリの働きアリ(ワーカー)は、55度付近の外気温下で、10分近く活動することが可能である。実際、研究室内で飼育している場合においても、70度に設定したホットプレート上で10分以上生存する事が可能である事が認められた。そのメカニズムを探る上で、代謝物解析などを中心とした研究を進めた。代謝物については、LC-MSによる140ほどの代謝物を、異なる温度条件に暴露した際に、増加あるいは減少する代謝物を複数明らかにする事ができた。一方、これらの代謝物の多くは、熱耐性を持たないCamponotus japonicusやFormica japonicaなどの日本産のアリでも同様の傾向がある事が示唆され、同定できた代謝物の中では、特に砂漠アリに特徴的に増減する代謝物はほとんど認められなかった。一方、メタボロームのPCAやPLS-DAなどの俯瞰的分析からは、C. bombycinaのメタボロームは熱耐性によってむしろ変化が小さいことが示唆され、代謝恒常性が高いことが伺えた。とはいえ、見ている代謝物が少なく、精度よく代謝分析を行うためにはGC-MS、LC-MSでの代謝物解析の幅を広げ、解析をやり直す必要があるだろう。 さらに砂漠アリに特徴的な腸内細菌の存在を検討するため、16S rRNAアンプリコンシークエンシングを用いた腸内細菌の網羅的解析を行った。驚くべきことに、砂漠アリにはほとんど腸内細菌が認められず、またみられた菌もAcetobactereceaeに属する2種のみであった。また、抗生物質による処理で、腸内細菌を除去しても、熱耐性に大きな影響は認められなかった。
|
Research Products
(1 results)