2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K19347
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
佐藤 政充 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (50447356)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 減数分裂 / 卵母細胞 / 細胞骨格 |
Outline of Annual Research Achievements |
不妊などに関する生殖医療、生殖補助医療の重要性が高く叫ばれる昨今、基礎医学、基礎研究としての卵母細胞の細胞生物学からスタートして、その結果を不妊治療の現場に活かすアプローチの研究が必要となってくる。 そこで本研究は、基礎生物学の観点から未知の不妊の原因を探ることを目指している。具体的には、卵子がなぜ経年劣化と呼ばれるような現象を起こすのかに注目し、その原因究明さらには生殖医療への貢献を目指すものである。 既に2018年度は、研究実施計画に基づき、申請し認可されたモデル生物の実験を可能にすべく、研究室における実験系の拡充と、システムの確立を目指してセットアップをおこなった。これに続いて2019年度は、セットアップした実験設備、実験動物飼育環境のもとで、実験動物の系統維持を安定化させること、さらに、採卵の作業の手技習得につとめた。それに加えて、高齢の生物における紡錘体の位置の異常について、統計的に信頼度の高いデータを得るために、n数を増やして確認することができている。したがって、ヒトの臨床現場でみられる同様のもの卵子の老化現象と呼べる症状が、実験生物においても見られることが確認された。ここでいう、紡錘体の位置とは、卵母細胞が放出した第一極体に対する第二分裂紡錘体の相対的な位置として定義されるものであり、紡錘体の位置が異常であるのか、あるいは第一極体の位置が異常となったのかは現段階では不明であるため、今後の追跡学習が求められる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、実験動物であるマウスの野生型および変異体の系統維持を安定的におこなうことを重視しながら、それと同時に、卵母細胞の採取がコンスタントにできる環境の作成につとめた。その結果、頻繁に実験できるほどではないものの、1ヶ月に1ないし2回の採卵が可能な飼育スケジュールを最低限安定的に構築することができた。染色・観察することで、卵母細胞の中の紡錘体の位置を判定することができる。また、高齢マウスは飼育数・生存数が少ないため、今のところ若齢マウスにくらべて安定的に実験をおこなうことが難しいが、それでもn数を増やして、紡錘体の位置に異常があることが確認されつつある。なお、卵母細胞内における母性RNAの量や、発生後の遺伝子発現の違いを若齢・高齢とで比較するための基盤として、シングルセル遺伝子発現解析の技術も共同研究にて開発しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、引き続き高齢マウスでのn数確保に努める。また、共同研究により、紡錘体の位置を非破壊で事前に判別し、角度でいくつかの区分に仕分けた上で、それぞれの卵母細胞を人工授精したときに、卵割や母体内での着床・胚盤胞への発生が進行するかどうか、誕生に到達するかなどを検証する必要がある。技術的にはやや難しいため、その可否を見ながら、論文としての成果発表に繋げたい。
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Research Products
(7 results)