2021 Fiscal Year Research-status Report
先天異常を引き起こす母体の加齢効果を小型魚類でモデル化する
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18K19351
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
鈴木 誠 広島大学, 両生類研究センター, 助教 (10533193)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2023-03-31
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Keywords | 初期発生 / ゼブラフィッシュ / 環境因子 / 背腹軸 / バルビアニ小体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、母体年齢の変化によって起こる脊椎動物の初期発生への影響を、新規アッセイ系の開発とその解析により理解することを目的としている。また小型魚類のゼブラフィッシュに加えて、水棲脊椎動物で保存された母体年齢効果を検証するために、両生類のネッタイツメガエルを併せて解析に用いる。本年度は、前年度に実施した年齢の異なる雌個体の卵細胞のトランスクリプトーム解析データをもとに、加齢に伴い卵中の遺伝子発現動態が変化する過程の解析を行った。本解析では異なる2系統(Nigerian-A, Nigerian-BH)を用いた。両系統について4段階 (1, 3, 5, 10歳)の年齢の個体からサンプルを調整したため、得られた解析データは8セットになる。この8セット間で発現が変動する遺伝子をフィルジェン社のCLC Genomics Workbenchで抽出した。更に、得られた候補遺伝子について、卵形成過程での発現パターンについて調査を行った。その結果、年齢に加えて系統間で卵細胞での発現が変動する遺伝子の候補を多数同定することに成功した。興味深いことに、ゼブラフィッシュにおいては、母体年齢で表現型の程度が変化する変異体では、系統間でも表現型の程度が変化することが報告されている。このことは、特定の表現型の程度を変化させる修飾遺伝子が母体年齢効果にも関与している可能性を示唆している。本研究で得られた候補も、母体年齢と系統間差による初期発生への影響を共通して説明する修飾遺伝子である可能性があり、今後詳しく機能を解析する必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染症の影響が継続しており、他機関から胚サンプルを入手して行う予定であったゼブラフィッシュを用いた解析は、年度当初の計画の変更が余儀なくされた。一方で、ネッタイツメガエルのトランスクリプトーム解析では新たな候補遺伝子の同定が進んでおり、本研究の目的の達成への寄与が見込まれる。
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Strategy for Future Research Activity |
ゼブラフィッシュを用いた解析については引き続き他機関から胚サンプルを入手して進める。ツメガエルを用いた解析については、トランスクリプトーム解析で得られた母体年齢の加齢に従って発現が変動する遺伝子の機能に関する解析を進める。今年度に計画していた候補遺伝子の発現動態と正常発生率の低下現象との関連性についても解析を進めたい。
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Causes of Carryover |
当初計画に遅れが生じたことから次年度使用額が生じている。昨年度同様に、今後の研究実施において追加で必要となる試薬類等の消耗品費に加え、トランスクリプトーム解析等の受託解析等に充てる計画である。
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[Presentation] Morphological and behavioral characteristics of Xenopus tropicalis inbred strains in NBRP2021
Author(s)
Igawa, T., Suzuki, M., Suzuki, N., Kashiwagi, A., Kashiwagi, K., Ochi, H. and Ogino, H.
Organizer
18th International Xenopus Conference
Int'l Joint Research / Invited
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