2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K19353
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
山尾 僚 弘前大学, 農学生命科学部, 助教 (50727691)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 遺伝的類似性 / 遺伝構造 / 種内競争 / 種間競争 / 植物間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、種間競争に対する分業を実証するために、室内栽培実験を実施した。対象植物の根を2つに分割し、一方を近縁な個体または非近縁な個体と共に、もう一方を他種が生育するまたは何も生育しないポットへ植え込んだ条件で栽培し、成長量と繁殖投資量を評価した。成長量として葉と根の乾燥重量を、繁殖投資量は花序の乾燥重量を測定した。他種競争者には、シロツメクサとチチコグサ、シバを用いた。加えて、他種競争者種と対象植物間の地上部や地下部の相互作用をプラスチックプレートで遮断した条件でも栽培し、近縁条件と非近縁条件下でのオ対象植物の可塑性やアレロパシー物質を阻害する処理を施した。その結果、近縁条件の対象個体の繁殖量が隣の近縁個体や非近縁条件の対象個体よりも小さく、他種競争者の成長量や繁殖量は非近縁条件よりも近縁条件で小さい傾向がみられた。これらの結果は、植物が配置によって異なる資源配分をおこなっていることを示唆しており、植物は非近縁個体と生育する条件と近縁個体と生育する条件とでは種間競争に対して、異なる応答を示すことが示唆された。また、他種競争者と地下部で区切られた条件では、近縁条件と杭的な応答が観察されなかったことから、種間競争に対する近縁条件特異的な応答は、地下部における他種との相互作用に依存していることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通りに栽培実験を実施できており、データを得ることが出来ている。また、次年度の計画に必要な実験準備を整えることが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、今年度得られたサンプルにおいて化学分析を進めると共に、より詳細なデータの解析も進める。加えて、実験にもちいた植物の近縁度をマイクロサテライトマーカーを用いて評価し、既に得られているデータと植物個体間の近縁度を関連づけて解析する。さらに、野外の草地を模倣したメソコスム実験を実施し、より野外に即した条件下で植物の種間競争に対する役割分担を解析すると共に、それらの応答が植物の個体群生長に及ぼす影響について明らかにする。
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Causes of Carryover |
当初予定していたサンプルの化学分析が次年度にずれ込んだ為に次年度使用額が生じた。
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Research Products
(12 results)