2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K19360
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石田 貴文 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 名誉教授 (20184533)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2023-03-31
|
Keywords | 霊長類 / 精しょうタンパク / 分子進化 / 社会構造 / 性淘汰 |
Outline of Annual Research Achievements |
客観性と定量性を担保した実験系に基づき「霊長類の精液凝固の定量」をおこない、「生殖関連分子と霊長類社会」の関連性を検証するのが本研究の目的である。具体的には、1)精液凝固の担い手である精しょうタンパク、セメノジェリン(SEMG)の遺伝子構造を多種の霊長類で決定する、2)そのDNA配列情報をもとに試験管内でタンパク合成・凝集を定量化する、3)当該霊長類の社会構造との関連を評価することである。 初年度において、テナガザル科の3属6種においてSEMG1,2の配列を決定し、属レベルで特徴を捉えたが、検索したHylobates属は分類される7種のうち3種のみであったので、情報を増やすべく新たに3種を加えることとした。ゲノム情報の有効活用を念頭に、GRAS-Di法を用いH. albibardes, H. moloch, H. mulleriの配列情報を収集した。 一方、他の霊長類に関しては、60アミノ酸リピートをコードする180bp領域のNJ樹形図を作成し、霊長類の進化の課程でSEMG1のリピート単位の数が変動していることが示された。繰り返し単位は、配列相同性によって2つのグループ、ユニットAとユニットBに分けることができ、ユニットAの数は、種によって大きく異なっていた。ただし、ユニットAは類人猿クラスターと旧世界ザルクラスターに分化していた。類人猿クラスターの中で、チンパンジーの全てのユニットAは明確な単一クラスターを形成していることから、チンパンジーSEMG1の繰り返し単位Aの増大は最近起こったことが示唆された。 コロナ禍のため国外での研究ができない点を補完するため、異なる地域のニホンザルDNAの収集を開始した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍のため予定していた海外における検証実験ができなかったことが大きい。また、代替研究事項として、国内での調査を立案したが、移動制限によって進捗が大幅に遅れた。
|
Strategy for Future Research Activity |
GRAS-Di法で取得したテナガザルゲノム情報を用い、論文公表した結果を拡充する。 国外での研究ができない場合を想定し、既存試料の活用を進める。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍で移動制限があり、研究計画の一部を先延ばしにしたため。
|