2019 Fiscal Year Annual Research Report
Development of 3D pathological analysis of cerebral small vessel disease
Project/Area Number |
18K19373
|
Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
田井中 一貴 新潟大学, 脳研究所, 教授 (80506113)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
|
Keywords | 脳小血管病 / 組織透明化 / 神経病理 / 3Dイメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
脳梗塞の再発、認知機能、歩行障害などの臨床症状を示す血管性認知性に代表される脳小血管病は、100μm以下の径からなる微小血管の障害および機能破綻、並びにそれらにより惹起される白質変性が主な原因とされている。しかしながら、これらの微小血管は、MRIでは検出できず、従来の2次元病理解析では立体像を得ることが困難であるため、脳小血管の病態の本質に迫る技術基盤は、未だに確立されていない。本研究では、ヒト脳組織の高度な透明化技術を用いた3Dイメージング手法により、微小血管および周囲の関連因子の空間分布を可視化し、脳小血管病の病態を明らかにすることを目的とする。 本研究では、脳小血管病の3Dイメージングを実現するための、ヒト脳新規透明化プロトコールの開発と共に、血管に関連する因子のホールマウント免疫染色プロトコールの開発に取り組んだ。その結果、懸案であった白質の脱脂を効率的に遂行する脱脂試薬を見出し、白質脱脂に要する期間が大幅に短縮された。本試薬は、脱脂強度が強いにもかかわらず、 目立った組織の損傷・抗原性の劣化もなく、理想的な脱脂試薬である。また、ヒト脳剖検サンプルの光学的課題である1)透明化後の褐色状の呈色、2)リポフスチンに代表される強度な自家蛍光、を効率よく抑制する透明化プロトコールが得られた。このプロトコールは、グリア細胞や髄鞘、血管、軸索に加えて、老人班やリン酸化タウといった病変マーカーのホールマウント免疫染色に適用可能である。これらの技術基盤により、孤発性とその重要な疾患モデルである遺伝性脳小血管病の剖検例から、毛細血管レベルの変性とアストロサイトの機能障害、白質病変の解析を行い、アストロサイトの挙動や平滑筋細胞の脱落が白質変性に寄与することを明らかにした。
|
Research Products
(11 results)