2018 Fiscal Year Research-status Report
人工的シナプスオーガナイザーによる神経回路制御方法の開発
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18K19380
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
鈴木 邦道 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (10713703)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | シナプス / AMPA受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
内因性シナプスオーガナイザーであるCbln1とNPTX1を元に、人工的シナプスオーガナイザーとしてCPTXを作製されており、その詳細な機能解析を行った。これまでに小脳神経回路の破綻による運動失調モデルマウスの歩行機能を小脳にCPTXを投与することで回復させることを明らかにしてきたが、新たに認知症モデルマウスの海馬にCPTXを投与することで認知機能を回復させることを見出した。海馬におけるCPTXの効果を詳細に検討するために各種AMPA受容体サブユニットに対する組織免疫反応性を解析したところ、サブユニット特異的な変化を与えることが見出され、GluA1-3についてはシナプスでのクラスター化を誘導したが、GluA4に対しては変化を与えなかった。人工的シナプスオーガナイザーの新規デザイン元としてNPTX1の他にそのファミリー分子であるNPTX2およびNPTXRを候補として考えたが、その内因性分子の脳内の詳細な局在が不明であったことから、それらに対する特異的抗体を作製し、性状解析を行った。miRNAによるノックダウン、CRSPR/Cas9によるKOマウスおよび神経活動誘導性の最初期遺伝子発現誘導によりすべてのNPTXsに対する抗体が特異的に反応することを見出し、脳内での詳細な時空間分布が明らかになった。シナプス除去に関わるシナプスディスコネクターの開発として、補体C1qの受容体の探索およびCx3cr1-GFP KIマウスを用いたミクログリアのin vivoライブイメージングを行い、麻酔や手術による動態変化を解析し、新規デザインと機能検証の準備を整えつつある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
課題1の新規デザインについて、興奮性シナプスコネクターとしてはNPTX2, Rを候補とし、どの神経回路に発現しシナプスをオーガナイズしうるか、各種の抗体、ノックアウト・ノックダウンツールの作製が完了・進行し、神経回路特異的な応用を見定めた検討が順調に進んでいる。抑制性シナプスコネクターについては、共同研究先でナノボディの特異性がクライオ電子顕微鏡の構造解析で確かめられたが、それを用いた具体的なデザインを設計中である。ディスコネクターについては補体C1qの脳内受容体を見出しており、設計に必要な情報を収集しているが、実際的なディスコネクターの作製には至っていない。課題2の機能検証・疾患モデルマウスへの応用について、初代人工的シナプスオーガナイザーをアルツハイマー病モデルマウスに応用し、認知機能の改善やAMPA受容体集積化を見出した。さらに他の神経精神疾患のモデルマウスへの投与実験が複数進行中である。シナプスディスコネクターの機能を解析するうえでミクログリアのin vivoイメージングが必須であるが、ドイツとの共同研究により二光子顕微鏡での観察実験系を確立し、また麻酔の影響による動態変化を解析し、論文成果としてまとめた。本成果をもとに、シナプスとの同時観察を行い、機能検証を進める準備を整えつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
初代人工シナプスオーガナイザーが脳内で及ぼす現象について、超解像レベルでの構造変化や分子レベルでの特異性について検証すべき事項が多く残っており、電子顕微鏡を用いての構造解析やAMPA受容体との共局在解析を行い、現象を正確に記述することで、新規にデザインされたコネクターとの対比を明確にする予定である。また他の神経精神疾患のモデルマウスへの投与実験を完了させ、新たな疾患治療への応用を模索する。新規デザインについては、有望なNPTXファミリーやナノボディ、補体C1qを用いた設計を行い、分子メカニズムや回路特異性に切り込みやすい分子から優先的に解析を進めていく。その中で、回路特異性が明確になりつつあるNPTX2やNPTXRについては遺伝子改変マウスの作製が進展しているので、それらを用いて神経回路特異的な異常と新規コネクターによる神経回路改変を検討していく予定である。
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Causes of Carryover |
本年度に使用購入予定であった備品や消耗品について、研究室に保有していた物品を含め効率的に利用することで節約できたが、その分を次年度の研究拡張に計上する予定である。また保有動物の拡張が制限されていたため、費用が抑制されていたが次年度の拡張に伴い管理費用として計上する。旅費に関しては、本年度の国内外発表において学会から補助をいただいたことで節約できたが、次年度の成果発表を国内外で積極的に行うかたちで計上する予定である。
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[Presentation] Re-building bridges over scrapped synapses2018
Author(s)
K. SUZUKI, J. ELEGHEERT, I. SONG, O. SENKOV, W. KAKEGAWA, E. MIURA, A. CLAYTON, R. KAUSHIK, A. DITYATEV, R. A. ARICESCU, M. YUZAKI
Organizer
第3回S&B領域班会議
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