2018 Fiscal Year Research-status Report
シグナル経路選択的活性化のための光応答性分子の開発と応用
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18K19382
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Research Institution | National Institute for Physiological Sciences |
Principal Investigator |
村越 秀治 生理学研究所, 脳機能計測・支援センター, 准教授 (90608142)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | シグナル伝達 / 光応答性分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、シナプス可塑性に必須なシグナル経路を選択的に光応答性分子で動作させ、それによって活性化する分子と細胞機能を観察する単一経路時空間活性イメージング法を確立する。これまでのシグナル伝達研究は、グルタミン酸等のリガンドで細胞を刺激し、細胞内の分子動態や活性を見るというものであった。しかしながらこの方法では、様々なシグナル経路を活性化してしまうため、本質的に重要なシグナル経路の時空間分布は明らかにすることは困難であった。そこで本研究では新規光応答性分子と新規蛍光タンパク質を開発し、これらを用いて、シナプス可塑性に必要な経路のみを選択的に光活性化させ、各種分子の分子活性を蛍光寿命イメージング法により可視化する。シグナル伝達をシンプルに動作させ、その出力を可視化することが可能になるため、複雑なネットワーク内でのクロストークによってかき消されていた時空間情報が次々と明らかになると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までに光応答性キナーゼ分子の開発に成功しつつあり、神経細胞において光照射によりスパイン体積の増大を惹起することに成功している。しかしながら、生化学的なアッセイにより、我々が開発した光応答性キナーゼは内在性のものと比較して、光非存在下でのベース活性が3倍程度高く、細胞内のシグナル伝達系を乱してしまうことが分かってきた。そこで本研究では、paCaMKIIのキナーゼドメインのリンカーの長さや変異導入によるダイナミックレンジの最適化(ベース活性を抑える)を進め、いくつかの変異体を得ることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、光応答性キナーゼをシナプス内で活性化させたときの下流分子の活性化の可視化を2光子蛍光寿命イメージング顕微鏡を用いて試みる予定である。
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Research Products
(7 results)