2019 Fiscal Year Research-status Report
「活性配座の増幅と記憶」を鍵概念とする迅速かつ簡便な活性配座の探索法の開発
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18K19384
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
市川 聡 北海道大学, 薬学研究院, 教授 (60333621)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
薬師寺 文華 北海道大学, 薬学研究院, 講師 (40548476)
勝山 彬 北海道大学, 薬学研究院, 助教 (20824709)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 軸不斉 / 活性配座 |
Outline of Annual Research Achievements |
軸不斉を有する化合物(アトロプ異性体)が、ゆっくりともう片方の異性体へと異性化するという性質に着目し、アトロプ異性体と標的分子の結合の活性配座を、片方のエナンチオマーの増幅として検出する、迅速な活性配座探索法の開発に向け、研究を実施した。アトロプ異性体が分離可能なことが報告されているインドメタシン誘導体の構造に基づき、今年度は、前年度に合成したインドメタシン誘導体等を更に15種類程度追加し、計31個からなる化合物ライブラリーを合成した。合成したすべての誘導体の配座については、NMR実験により確認した。合成した誘導体を用いて、前年度と同様にモデルタンパク質を用いた活性配座の増幅に関して検討を実施した。モデルタンパク質としては、インドメタシンと結合することが報告されているカタラーゼ、ヒト血清アルブミン等を利用した。これらモデルタンパク質とインドメタシン誘導体を混合し、片方のエナンチオマーの増幅が見られるかについて検討した。また、それぞれのエナンチオマーが各モデルタンパク質に対して異なる親和性を示すかを調べる目的で、等温滴定カロリメトリーを利用した親和性測定を実施した。今年度から、計算科学的手法を用いたアトロプ異性体間のエネルギ―計算も行う事で、両エナンチオマー間の平衡定数や半減期の予測も行った。これらの計算結果は、光学的に純粋なインドメタシン誘導体のアトロプ異性体の実際の半減期(キラルHPLCを用いて解析)と良い一致を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
インドメタシン誘導体ライブラリーを拡張し、包括的なエナンチオマーの増幅が見られるかについて検討する事ができたため。また、各モデルタンパク質との親和性の測定方法を確立できたため、今後合成する化合物ライブラリーの迅速かつ安定な活性評価が見込めるようになったため。計算科学的手法を用いたアトロプ異性体間のエネルギ―計算も導入し、分子の理論的設計が容易になったため。
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Strategy for Future Research Activity |
セレコキシブ等に代表される、軸不斉を2つもった化合物に本研究を展開し、活性配座の多様性を生み出すとともに、より高度な軸不斉制御を行う事で、創薬研究に有用なリード化合物を見出す。
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