2019 Fiscal Year Research-status Report
タンパク質間相互作用を制御する特殊環状ペプチド創薬
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18K19389
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 敬行 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 准教授 (90567760)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | 特殊環状ペプチド / タンパク質間相互作用 / 遺伝暗号リプログラミング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、タンパク質間相互作用を制御する特殊環状ペプチド医薬を開発することを目指す。ペプチドは従来の有機低分子医薬や抗体医薬・核酸医薬などの高分子バイオロジクス医薬に代わる新しい医薬品リード化合物として近年非常に注目されており、低分子医薬では不可能なタンパク質間相互作用の促進や阻害が可能であるため、機能的により優れた医薬品となり得る。しかしながら、そのようなタンパク質間相互作用を制御するペプチドを効率的にスクリーニングする方法がないのが現状の課題である。 具体的には、以下の2つの戦略でタンパク質間相互作用制御ペプチドの取得を目指している。 (1)細胞表面にEGFPを連結した標的タンパク質1とmRuby3を連結した標的タンパク質2を人工的に発現させ、488nmのレーザー光を照射してFRETによる赤色光の変化を示した細胞のみをセルソーターで回収することでセレクションを実施する系の確立。 (2)2種類のタンパク質にそれぞれ結合する特殊環状ペプチドのセレクションをおこない、各ペプチドの標的タンパク質への結合を確認したのち、2つのペプチドをリンカーを介して連結し、2つの標的タンパク質に同時に結合させる戦略。 現時点では、戦略(1)のEGFPを連結した標的タンパク質1とmRuby3を連結した標的タンパク質2を発現した細胞株の樹立が難航しており、戦略(2)の2種類のタンパク質にそれぞれ結合する特殊環状ペプチドを連結させる手法に注力して研究を進めている。既に、2種類のタンパク質に結合するペプチドの取得は完了しており、今後連結したペプチドの活性評価に移る。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
戦略(1)のEGFPを連結した標的タンパク質1とmRuby3を連結した標的タンパク質2を発現した細胞株の樹立は難航しているが、戦略(2)の2種類のタンパク質にそれぞれ結合する特殊環状ペプチドを連結させる手法においては予定通りペプチドのスクリーニングを完了しており、今後それぞれを連結させたペプチドの活性評価に進める見込みであるため。
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Strategy for Future Research Activity |
戦略(1)のEGFPを連結した標的タンパク質1とmRuby3を連結した標的タンパク質2を発現した細胞株の樹立についても引き続き継続する予定ではあるが、戦略(2)の2種類のタンパク質にそれぞれ結合する特殊環状ペプチドを連結させる手法の確立を重点的に推進することとする。得られた2種類のペプチドを連結させる際のリンカーの長さの検討等をしたのち、標的タンパク質への結合アッセイ、活性測定、血中安定性等の評価を行う。そのデータを元に、ペプチドの配列をさらに最適化することも検討する。
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Causes of Carryover |
EGFPを連結した標的タンパク質とmRuby3を連結した標的タンパク質を発現した細胞株の樹立が難航しており、これに関連する実験が後ろ倒しとなっているため。また、コロナウィルスの被害拡大の影響で令和2年3月に使用見込みであった物品費が使用できず、次年度に持ち越しとなったため。該当する費用は令和2年度に全額使用する計画である。
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