2018 Fiscal Year Research-status Report
Comparative immunological research on tumor-associated immune cells using Drosophila
Project/Area Number |
18K19395
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中西 義信 金沢大学, 薬学系, 特任教授 (40172358)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白土 明子 札幌医科大学, 医療人育成センター, 教授 (90303297)
永長 一茂 弘前大学, 地域戦略研究所, 准教授 (70401891)
|
Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
|
Keywords | 癌 / 免疫細胞 / ショウジョウバエ |
Outline of Annual Research Achievements |
他研究者が樹立したショウジョウバエ発癌モデル(Dekanty et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 109:20549, 2012)を使って研究を行った。この実験系では、細胞周期チェックポイントとアポトーシスを同時に阻害することによりショウジョウバエ個体に癌を誘発する。癌はGFP発現で可視化した翅原基の後部で誘導し、幼虫から摘出した翅原基を蛍光顕微鏡下に観察して発癌程度を測定した。 当該年度の研究では、この発癌モデルの再現に成功し、これを用いて下記のように解析を進めた。まず、この方法によって誘発される癌の性格づけを行った。続いて、ウイルス感染の発癌への影響を知るために、癌を誘導したショウジョウバエ幼虫にウイルスを感染させて癌化の程度を調べた。その結果、ウイルス感染によって癌化の程度が低下することがわかった(発表済み、Virology 2019)。研究代表者による以前の研究で、ウイルス感染を受けた細胞がアポトーシスを起こし免疫細胞(ヘモサイト)によって貪食されて除去されること(J. Immunol. 195:5696, 2015)、およびアポトーシス細胞を貪食したヘモサイトでは貪食活性が高まること(J. Biol. Chem. 292:8059, 2017)、がわかっていた。そこで、今回の結果は“ウイルス感染によって貪食活性を高めたヘモサイトが何らかの仕組みで被貪食能を獲得した癌細胞を貪食除去した”と解釈される。さらに、癌組織の宿主免疫系への影響の有無を知るために、癌を持つ幼虫と持たない幼虫から単離したヘモサイトについてRNAseqにより遺伝子発現パターンを決定した。二種類の試料間で差が認められたが、詳細な解析は次年度に行われる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ショウジョウバエ癌モデルが確立(既存方法の再現)され、この実験系を使った解析が可能になった。結論が得られた解析はひとつだけであり、ウイルス感染が癌化を抑制することが明らかになった(論文発表済み)。腫瘍随伴ヘモサイトの存在を検証することについては、ようやく実験系が整ったところであり、すべての解析は次年度での研究に委ねることになる。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終目標である”ショウジョウバエの免疫細胞が癌を助ける働きを持つのか(腫瘍随伴ヘモサイトが存在するのか)あるいは癌を防止するだけなのか(ヘモサイトが免疫細胞としての働きのみを示す)のか”を明らかにするために以下の解析を行う。1)当該年度に実施したRNAseqの結果を分析し発現レベルに違いのある遺伝子を特定する。2)ヘモサイトの癌組織への集積を個体レベルで検証する。3)ヘモサイトを持たない/持つショウジョウバエに癌組織を移植して増殖程度を比較する。4)ヘモサイトを持たない/持つショウジョウバエに癌を誘発して癌化の程度を比較する。腫瘍随伴ヘモサイトの存在を示唆する結果が得られたら、そのようなヘモサイトを単離してそれ以外のヘモサイトとの間で性質や遺伝子発現様式を比較する。もし、ヘモサイトが癌防止のみに働くことを示唆する結果が得られたら、ヘモサイトの働き方を明らかにする。
|
Causes of Carryover |
当該年度では実験系の構築に多くの時間が割かれ、解析自体は次年度に持ち越したため繰り越し金が生じた。次年度の助成金が増えたことになるが、予算は当初に計画された消耗品などの購入に充てられる。
|
Research Products
(2 results)
-
-
[Journal Article] Inhibitory effects of viral infection on cancer development.2019
Author(s)
Rahmatika, D., Kuroda, N., Zhang, M., Nainu, F., Nagaosa, K., and Nakanishi, Y.
-
Journal Title
Virology
Volume: 528
Pages: 48-53
DOI
Peer Reviewed / Int'l Joint Research