2018 Fiscal Year Research-status Report
画期的がん治療法としての“吸う”がんワクチンの開発
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18K19401
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉岡 靖雄 大阪大学, 微生物病研究所, 特任准教授(常勤) (00392308)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | ワクチン / がん / 機能性ペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、申請者が独自開発した、樹状細胞選択的に結合しつつ、アジュバントとの併用で強力ながんワクチン効果を発揮し得る樹状細胞標的化ペプチドを用い、従来までのがんワクチンとは全く異なるコンセプトに基づく、経肺投与による“経肺がんワクチン<吸うがんワクチン>”の開発を図る。2018年度には、本樹状細胞標的化ペプチドと、モデル抗原由来のMHCクラス1ペプチドとの融合ペプチドを用いて、CD8陽性細胞傷害性T細胞(CTL)を効率的に誘導可能なペプチドフォーマットの最適化を図った。その結果、樹状細胞標的化ペプチドを1個だけ連結した誘導ペプチドではCTLの誘導が乏しかったものの、3個連結させることで、強力なCTLを誘導し得ることを、テトラマーアッセイ、IFN-gamma産生誘導能評価により明らかとした。また、アジュバントは数種類のものを用いたが、いずれのアジュバントでも強いCTLが誘導され得ること、アジュバントの併用は必要であることも明らかとなった。また、樹状細胞標的化ペプチドとMHCクラス2ペプチドとの融合ペプチドを用いた検討においても、有望な成果を見出している。以上の結果から、MHCクラス1ペプチドと共に、MHCクラス2ペプチドをも用いて、抗腫瘍効果の検討を推進する予定である。なお既に、経肺投与によりCTLを評価可能な実験系の確立にも成功しており、現在、経肺投与によるCTL誘導能を評価しつつある。さらに、モデル抗原のみならず、がん抗原由来ペプチドを用いた検討も実施中である。2019年度中には、「粘膜面のがんに対する、粘膜がんワクチン」のコンセプトを証明し得ることが可能と期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ペプチドフォーマットの最適化に時間を要してしまい、若干の遅れを呈している。一方で現在は、全て円滑に進んでいることから、当初の予定通りの結果が得られるものと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初は、2018年度中に経肺投与の結果が得られる予定であったものの、若干の遅れを呈している。そこで2019年度は、主に下記について実施する。 ・モデル抗原およびがん抗原由来のMHCクラス1エピトープペプチドと樹状細胞標的化ペプチドの融合ペプチドを、アジュバントと混合し、マウスに経肺投与後、肺組織、肺所属リンパ節および脾臓細胞を回収し、テトラマーアッセイおよびサイトカイン産生を指標として細胞傷害性T細胞の誘導能を評価する。さらに、がん細胞をマウスの肺に移植した後、融合ペプチドをアジュバントと共に経肺投与し、腫瘍退縮を指標に、がんワクチン効果を評価する。また、皮下に移植したがんに対するワクチン効果も検討する。 ・蛍光修飾された樹状細胞標的化ペプチドをアジュバントと共に経肺投与後、肺胞洗浄液、肺組織、肺所属リンパ節中の樹状細胞への移行性をフローサイトメータにより評価する。 ・樹状細胞標的化ペプチドとアジュバントをマウスに単回および複数回経肺投与後、経日的に、肺組織への細胞浸潤、体重変化、血球数、血液生化学マーカー、肺・血液中サイトカイン量、運動量・発熱を測定する。 ・樹状細胞標的化ペプチドについて、CTLをより強く誘導可能なフォーマットに改変する。具体的には、アミノ酸配列を改変すると共に、連結させる際のリンカー配列を最適化する。
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Research Products
(3 results)