2018 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
18K19413
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
村山 周平 昭和大学, 薬学部, 講師 (50549649)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2021-03-31
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Keywords | ナノ粒子 / DDS / 生体イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢化社会の進行に伴って腰痛、膝痛などの運動器疼痛疾患が急増している。『慢性的な痛み』=炎症、は運動能力・意欲を大幅に減退させ、社会的な生産性の低下と、個々人の生活の質の低下原因になる。日米欧における疼痛薬の2014年度の市場規模は約2兆円とそれだけでも巨額ではあるが、慢性的な痛みによる就労困難等まで含めた社会的損失はその何十倍にも上ると推定されるなど、疼痛は医療費問題にとどまらない21世紀における新たな社会的な課題であり、『痛み』の機構解明と、治療法の確立求められており、その解決へ向けた第一歩として、痛みの可視化=炎症反応時の神経の観察法が希求されている。 本研究では、ゲルの網目構造を用いて、重金属を含む錯体を、生体内環境から隔離し保護した状態で造影剤として用い、早く、確実に、生体内から安全な形のままで造影剤を排出するという二段構えのアプローチによって、毒性の低い腎排泄性ナノ粒子神経診断プローブプラットフォームの開発とそれを用いた疼痛の評価を目的としている。 本年は、実際に、毒性を抑えたナノ粒子の試作品を作り、実際にラットの神経の低侵襲な造影に成功し、論文の準備中である。一方で、そもそもMRI造影による侵襲は、重金属イオンを含む錯体と言う低分子を用いて、それが生体内で悪さを働く事が原因であり、既存のゲルによる隔離で、低減という一定の成果を上げているが、ごく一部のゲルからの錯体の漏出による侵襲性が残っている。それを抑えるべく、ゲルの網目構造を工夫することで、内包低分子の漏出を抑える新しいタイプのゲルの開発を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
疼痛を観察するための、低侵襲性の神経造影用のナノ粒子プローブの開発は、順調に進んでおり、論文投稿中である。 さらに侵襲性を下げる事を目標としてデザインをしたナノ粒子ゲルについても、開発・評価を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
低侵襲性の神経造影プローブの第一報を通した後に、その応用として、実際の疼痛モデルマウスに対して神経造影と、治療の影響、連続投与による体内への蓄積等の危険性などについて評価を進める。 一方で、より粒子からの分子の漏出の少ない新しいタイプのナノ粒子プローブについても、開発・評価を進めて、更なる低侵襲性ナノ粒子プローブの開発を目指す。
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Causes of Carryover |
(理由)実験を進めることに集中して、当初の計画より、学会に行く回数が1回減ったことで、旅費の部分で残余が出た。 (使用計画)実験用試薬の購入に充てる。
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