2018 Fiscal Year Research-status Report
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18K19414
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
木田 泰之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (20396526)
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Project Period (FY) |
2018-06-29 – 2020-03-31
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Keywords | 自律神経 / 心筋 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではヒトiPS由来心筋細胞をヒト自律神経細胞と共培養・接続させることで、機能制御系を組み込んだ心筋組織の高機能化を行うことを目的としていた。そのため、今年度は作製したヒト自律神経を心筋と共培養・接続し、自律神経を包含した自律性心筋ブロックを作製し、その機能評価を行うことを計画していた。 まずはじめに作製したヒト自律神経を市販iPS細胞由来心筋と共培養し、自律神経を接続した心筋ブロックを作製した。ヒトiPS由来心筋は自発的に電気活動及び拍動を生じるが、こうした活動状態がサンプル間で変動し安定性に欠けるという課題について、前駆細胞時より自律神経との共培養することによって克服した。 また心筋活動状態を変化させることができる高制御心筋ブロックの作製には、交感神経・副交感神経を選択的に刺激する技術確率が重要である。そのためには、交感神経と副交感神経を効率良く作製する必要がある。これまでの分化誘導法では交感神経が優位に誘導されるため、iPS細胞からの分化誘導剤およびコーティング、細胞密度などの培養条件を検討した。さらに、自律神経と心筋の共培養に当たっての細胞数割合、共培養開始時期、培養日数等についても最適な条件を検討した。 分化誘導剤においては、自律神経の前駆細胞までの条件を固定することで前駆細胞の状態を規定した。そして、後の分化において誘導剤の濃度を1-50倍に変化させることで、好感・副交換神経細胞の誘導効率を変化させることが可能となってきた。同時に、播種する細胞密度とコーティング方法の違いを検討し、最適な分化誘導条件を決定できた。 自律神経と心筋の共培養条件においては依然検討中であるが、前駆細胞時より共培養することで概ね良好な結果が得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画どおりに進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目標であるMicro-physiological Systems (MPS)技術の構築に向け、チップ化した自律神経-心筋ブロックの有用性検証を行う。デバイス上の心筋組織に求められる仕様として安定的な自律活動があるか、薬剤応答性があるか、疾患状態を再現できるか、という項目を検討する。
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Causes of Carryover |
培養に使用するデバイスを作製する段階において、設計図の微調整が生じた結果、翌年度での発注となった。それに伴い、培養試薬と評価試薬等に変更が生じた。翌年度では、繰越分にてデバイス作製と培養評価を行う。
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